【岩本輝雄の英雄列伝|財前宣之編】サッカーの本質を体現する“シンプルさ”に凄み

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2020年05月01日

京都戦のボレー、あれは本当に難易度が高い

持ち前のテクニックを誇示しないで、簡単にプレーする。そんなシンプルさが、財前の一番の魅力だ。(C)SOCCER DIGEST

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 ベガルタ時代、かなり仲の良かった選手だよ。僕がベガルタに移籍した2001年、財前はすでにチームにいたけど、新加入の僕によく絡んできてくれて、すぐに打ち解けられた。普通、新しい選手が入ってくると、警戒するじゃないけど、ちょっと構えたりすると思うんだけど、財前はまったくそんなことはなかった。

 若い頃からヨーロッパのクラブに所属していたからだろうね、コミュニケーション能力が高いんだと思う。おかげでチームにもすんなりと入れたよ。

 練習が終わったあとは、近くのおしゃれなカフェにふたりでよく行っていた。変な関係じゃないよ(笑)。話す内容はだいたいサッカーのこと。財前が若い頃、イタリアのラツィオに留学していたのはみんなも知っていると思うけど、僕は当時のラツィオがすごく好きで、特にシニョーリが大のお気に入りで、どんな感じだったかを聞いたりね。

 当時はリラがすごく安かったとか、現地のカフェの雰囲気はどうとか、そういう話題もあった一方で、イタリアでは活躍している選手に限って優しいとか、プロである自分にとって刺激になったり、ためになる話も聞かせてくれた。

 練習や試合以外でも、少なからず同じ時間を共有しているから、ピッチ上でも息が合うというか、やりやすかったよね。
 
 プレーヤーとしては、育成に定評のあるヴェルディの下部組織出身だし、10代から日の丸を背負って世界を舞台に戦ってきただけに、簡単な表現になるけど、上手かった。高いテクニックと質の高いキック。裏にギュッと抜けるセンスも抜群だった。

 ベガルタが初のJ1昇格を決めた01年シーズン最終節の京都戦(1-0で仙台が勝利)、決勝点となったボレーシュートは、技術に優れる財前の象徴的なプレーだよね。僕が左サイドからふわりとしたクロスを入れる。これを山田(隆裕)がヘッドでつないでゴール前へ。ペナルティエリア内でスタンバイしていた財前は、後方から来たボールの落ち際を正確に叩いて、鮮やかなボレーで豪快にネットを揺らしてみせた。

 時間は89分。疲れている状態でも、しっかりとミートして、浮かさないで、文字通り、ゴールに“突き刺す”。あれは凄いよ。横から来るボールをボレーするのは、はっきり言って、そんなに難しくはない。でも、後ろからだからね。あれを合わせるのは難易度が高いよ。
 

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