【岩本輝雄の英雄列伝|中田英寿編】個性派集団の中で、伸び伸びできたんじゃないかな

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2020年04月25日

印象に残っているのは、裏への抜け出し

ルーキーイヤーの95年は26試合に出場して8ゴール。得点感覚も優れていた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 中田とは平塚時代にチームメイトで、彼が高卒ルーキーで加入してきた95年から3年間、一緒にプレーした。

 世代別代表の常連で、世界大会も経験済みだったから、1年目から即戦力として活躍。期待通りのパフォーマンスを見せていたよ。当時、僕は中盤をやっていたけど、中田が入ってきたことで、僕はSBに。ある意味、ポジションを取られた形ではあるけど、でもそれに値する実力を見せていたからね。

 同じサイドでプレーすることが多くて、強く印象に残っているのは、裏への抜け出し。タイミング良く、スルスルって上がっていくから、後ろにいる僕もパスを出しやすかった。基本的に中田は絞り気味に構えていて、前方の空いたスペースをSBの僕が攻め上がるという感じでもあった。

 彼は一時期、イタリアのユベントスに留学していて、帰国後は、筋力トレーニングにかなり力を入れていた。もともと強かったフィジカルがさらに強化されて、簡単に奪われないし、倒されない選手になったと思う。
 
 その頃、シモンっていうガタイのいいブラジル人選手がいたけど、1対1で互角にやり合っているのを見て、改めて、これは強いなと思った。中田は強いだけでなく、柔軟性もあるから、バランスもいい。態勢が崩れそうになっても、崩れない。耐え切るんだよ。キープ力が抜群だから、チームメイトとしては本当に楽だった。

 それから、ミドルシュート。ゴールの枠を大きく外すようなことはほとんどなくて、威力も十分。だいたい「あ、入りそう」っていう一発なんだよね。今も昔も、中田ほど可能性を感じさせるミドルを打つ選手って、いないんじゃないかな。それぐらい精度が高かった。

 パスの練習も熱心だった。ミドルやロング、スピードの強弱も意識して。全体練習の後、よくやっていたのを思い出すよ。俗に言う“キラーパス”に磨きをかけていたんだろうね。で、クラブハウスに戻ったら、筋トレ。特に肩や腕、背中を重点的にやっていたかな。

 元々持っているものは凄かったけど、自分に何が足りないかを把握して、そこを鍛える。突き詰める。そうやって、自らを向上させていったと思う。
 

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