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【W杯アジア予選を突破した日】輪の中心にはカズがいた…ジョホールバルでドーハ組はいかに振る舞ったか?

カテゴリ:Jリーグ

佐藤俊

2020年04月20日

何度も決定機を外す岡野に本気でキレていたのは…

予選を通じて前線でチームを牽引したカズ。ジョホールバルではベンチに退いてからも率先して声を出していた。(C) SOCCER DIGEST

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 カズとゴン、北澤豪、井原正巳はその歴史を変えるべく、スタメンで出場した。ゴンは先制点を奪い、4年前のドーハでの北朝鮮戦でデビューした時のような勢いを見せた。だが、時間の経過とともにマレーシアの高温多湿とタフな試合に体力を奪われ、ついにカズとゴンはベンチに下がることになった。

 カズとゴンは、ベンチに下がっても戦っていた。城のゴールで同点に追いついた時は、ベンチの選手と抱き合って喜び、「これからだ」とピッチの選手を激励した。2-2で延長戦に入る前は選手に水を渡したり、選手の両足を持って疲労を取るストレッチをしたりしていた。もちろんカズやゴンだけでなく、ベンチにいた全選手が試合に出ている選手のサポートをしていた。その姿を見た時、並木は「本当にチームがひとつになった」と思わず泣きそうになったという。

 延長戦が始まる前、誰が言うのではなく自然と円陣ができた。だが、スタッフのひとりが足りないと分かると、彼が参加するのを待った。全員が揃うと、お互いに肩を抱いて、「いくぞー!」と声を合わせ、勝利を誓った。
 その輪の中心にはカズがいた。

 延長前半、岡野雅行がピッチに入った。それまで1試合も最終予選に出場したことがなかったが、カズとゴンは岡野に「決めてこい」と激励した。しかし、岡野はベンチの声援や岡田監督の期待になかなか応えられず、何度も決定的なチャンスを外した。

 その度にベンチの選手はドリフのずっこけみたいになっていたという。そんななか、「決めろよー!!」と本気になってキレていたのがカズと岡田監督だった。その声が届いたのだろうか。延長後半13分、岡野がやっとゴールデンゴールを決めた。

 ピッチ上で城彰二や川口能活らアトランタ組の選手が号泣するなか、カズとゴンは涙もなく、喜びの笑みを見せていた。

 試合後、現地に参戦してくれた多くのファン・サポーターに挨拶するために選手は場内を一周することになっていた。その前に並木はカズに声をかけられた。

「このユニホームは記念だから、取られないようにナズーが着ててくれ」
 並木はカズの11番を背負い、歩いていた。

 そのユニホームを見たマスコミが騒ぎ、「カズさん」、と声をかけられて顔を見られた。すると「違うわ」とハッキリと分かる声で言われたという。

「なんだよ、体型みりゃ分かるじゃん(苦笑)」
 並木は、そう思いながらカズのユニホームを大事にロッカーに持ち帰った。
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