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「正直、余裕なんてありません」――吉田麻也の言葉から解くプレミア7年半の“サバイバル”記/後編【現地発】

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2020年02月13日

「恐ろしさ」を感じたイブラヒモビッチとのマッチアップ

幾人もの名手たちとマッチアップした吉田。なかでも、イブラヒモビッチとの対戦は印象深いものだった。 (C) Getty Images

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 取材者としては、世界屈指のストライカーたちとのマッチアップに目を奪われた。いかに、日本人CBが世界トップのアタッカーを抑えるか。吉田が積み重ねた経験は、日本代表にとっても、今後活用できる貴重な財産となるだろう。

 筆者が最も強く印象に残っている試合は、17年2月に行なわれたリーグ・カップの決勝。ファイナルの相手は、ジョゼ・モウリーニョ監督が率いたマンチェスター・ユナイテッドだった。舞台は、イングランド・サッカーの聖地、ウェンブリー・スタジアムである。

 4−3−3の左CBとして先発した吉田は、相手の1トップを務めたズラタン・イブラヒモビッチとマッチアップする場面が多かった。吉田個人としてはイブラヒモビッチにやられることはなかったが、CBでコンビを組んだジャック・スティーブンスから崩され、元スウェーデン代表FWに2ゴールを許し、試合も2−3で敗戦した。

 あと一歩のところでタイトルには手が届かなかった。要所、要所で決定的な仕事をこなしたイブラヒモビッチとのマッチアップについて、吉田は次のように振り返った。

「(イブラヒモビッチは)守備はほとんどしないから、(CBとしては)好きにやらせてくれる。だけど、その分スイッチが入った時は恐ろしい。流れのなかで、止めていても、やっぱり“一撃必殺”で点を入れてくる。時間帯によってエネルギーをセーブし、最後の最後で出力マックスで来るんだなと。その使い分けがベテランらしかった。

 あとは存在感が大きいので、ディフェンスにとっては嫌だし、味方にとっては頼もしい存在だと思う。彼のような勝ち方を知っている選手とドンドン対戦して、自分もそこでのしのぎ合いで勝っていけば、また成長できると思う。彼のような選手たちとやれるプレミアリーグは、本当に素晴らしいなと思いました」

 2014年までリバプールに在籍したウルグアイ代表FWルイス・スアレス(現バルセロナ)との対決も熱を帯びた。対戦時の取材ノートを読み返すと、ピッチ上で吉田が感じていた怖さがヒシヒシと伝わってくる。日本代表DFは、こう語っていた。

「スアレスは本当に厄介。南米の選手らしく、巧くて、ずる賢い。身体の使い方や駆け引き、手の使い方が本当に巧い。だから、変に飛び込むと一発で交わされてしまう。90分間、嫌なところをひたすら突いてくるから気が抜けない。

 1対1の場面ではボールを取れることもあるけど、下手したら抜かれることもある。一か八かの仕掛けをしてくるから、それを8割止めることができても、あとの2割でやられてしまうこともある。10回中10回守らなければいけないDFの立場からすれば、非常にやりにくい。やっぱり世界でもトップクラスのストライカーだと思います」
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