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【消えた逸材】自宅に火を放って放火犯に…。「ブラジル史上最高のCBになれる」と絶賛された若者の波瀾万丈のキャリア

カテゴリ:ワールド

沢田啓明

2020年01月17日

放火の罪に問われ3年9か月の実刑判決を受ける

ヴァスコ1年目のブレーノ。入団初年度は25試合に出場するなど復活の気配を漂わせたが、膝のトラブルもあって徐々に出場機会は減り……。 (C)Getty Images

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 バイエルンに戻り、クラブのメディカルスタッフの判断で渡米して手術。しかし、計かが思わしくなく、膝に水が溜まって腫れ、満足にプレーできない日々が続く。再手術をしたが、膝の状態は良くならない。

 そして11年9月、事件が起こる。クラブのドクターから3度目の手術が必要なことを知らされ、彼の中で何かが切れた。ミュンヘン市内でブラジル人の友人と会食した際に憂さを晴らそうと痛飲。自宅へ戻ってもビール、ワイン、ウイスキーを次々と飲み干し、さらに睡眠薬まで服用したことで前後不覚の状態に陥り、自宅に火を放ったのだ。

 事情聴取を受けたブレーノは、「記憶が完全に飛んでいて、何をしたかまったく覚えていない」と供述している。

 ミュンヘン市内の高級住宅地にあった自宅はほぼ全焼。損害は150万ユーロ(約1億8750万円)に及んだ。

 それだけではない。放火の罪に問われて逮捕され、裁判で3年9か月の実刑判決を受けるのだ。こうして、大きな夢を抱いてドイツへ渡った若者は、その3年後、21歳でミュンヘン市内の刑務所での生活を余儀なくされたのである。

 前途洋々たる新鋭は突如として犯罪者の烙印を押され、もがき苦しんだ。そんな人生のどん底で救いとなったのは、愛する妻と息子たちの存在だった。

 模範囚だったことから刑期が短縮されたうえ、日中はバイエルンの下部組織のコーチとして働く許可が下り、社会復帰を目指しながら、朝夕は刑務所で過ごす。そんな日常がしばらく続いた。そして、13年8月に出所。収監されてから1年1か月後のことだった。

 家族と共に帰国したブレーノは、古巣サンパウロに入団する。しかし、結局レギュラーを掴めず、17年5月、リオの古豪ヴァスコダガマへと移籍した。

 入団1年目のヴァスコではカンピオナットで25試合に出場。ついに復活を遂げたかに見えた。だが、相変わらず膝にトラブルを抱え、2年目の18年シーズンはわずか5試合の出場に留まり、19年シーズンも出番はゼロ。まだ30歳ながら「もうダメだろう」という声が支配的となっている。

 このままひっそりと姿を消すのか、あるいは怪我を克服して再起を果たすのか。極めて厳しい状況を迎えている。

文●沢田啓明

※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年12月19日号より転載
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