【岩本輝雄】まるで“宝石”のように輝いていたルヴァン杯決勝戦、僕がMVPを選ぶなら…

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2019年10月27日

スタメンを外れて、本人に期するものはあったはず

途中出場から2ゴールの小林。これぞエースという仕事ぶりだった。(C)SOCCER DIGEST

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 試合はその後、小林がこの日、2点目のゴールを決めて、フロンターレが追いつく。福森のゴールを生んだFKのファウルで谷口が退場となり、ひとり少ない10人となっていたけど、数的不利を感じさせない戦いぶり。それが実現できたのは、僕は家長の存在が大きかったと思う。

 彼の優れたキープ力について、今さら説明の必要もないよね。身体が強くて、ボールの置き所がいいから、相手はなかなか取れないし、簡単に飛び込めない。家長がしっかりとボールを落ち着かせてくれるから、チームもそこで一息つける。

 ゴールこそなかったけど、その貢献度は相当に高い。たとえば、局面で4対4になる場面。がっつりマンツーマンでつかれているけど、家長がキープできるから、味方は動き直して、パスコースを作れる。目立たないかもしれないけど、チームメイトはかなり助かっているはずだ。

 のらりくらりとやっているように見えて、家長は実はスピードもあるからね。タイミングを見て、縦にスッと抜ける、中にグッとカットインする。その際の一瞬の速さは特筆もの。クロスを上げるにしても、足の振りが小さいから、対応するDFも止めづらいんじゃないかな。しかも、正確なボールを蹴れる。随所に熟練のテクニックを披露していたよ。
 
 試合は延長戦を終えても、3-3で両者譲らず、PK戦に突入。ここでもサドンデスまでもつれこむんだから、本当に接戦だったよね。

 PK戦では、フロンターレのGK新井が2本をストップする活躍ぶりで、大会MVPに選出された。タイトルをもたらすハイパフォーマンスだったのは間違いない。

 その新井も凄かったけど、僕がMVPを選ぶなら、やっぱり小林かな。途中出場から2得点。抜群の決定力と勝負強さ。PK戦で決着がついたけど、2-3で迎えた延長後半、小林のこの日2点目となる同点弾がなければ、チームはPK戦に進むことができなかったんだから。そのPK戦でもプレッシャーのかかる一番手を務めて、きっちりと決めてみせた。スタメンを外れて、本人にも期するものがあったはず。でも、これぞエースという仕事ぶりでチームにタイトルをもたらしてみせた。

 とにかく、エンターテインメントに溢れた決勝戦だった。両チームのサポーターの応援も凄かったし、選手たちを含めて、この日の埼スタはまるで“宝石”のように輝いていた。ラグビーの日本代表は多くの感動を与えてくれたけど、サッカーも負けていないと改めて思った。そんな歴史に残る激闘だったね。
 
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