【ルヴァン杯決勝|戦評】敗者はいない。称えられるべき両チームのファイト

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2019年10月26日

阿部の同点弾は“負の歴史”を払拭する意味でも…

仕掛けや崩しの局面でも効いていた阿部は、前半終了間際に同点弾を叩き込んだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 オープンな展開とは言えないまでも、25分あたりまでは両チームとも攻撃意識は高く、だからこそ多くのシュートチャンスが生まれた。局面を動かすキーマンとしてポイントになっていのが、札幌はジェイで、川崎は大島だった。

 ただ、一進一退だった展開が時間の経過とともにそうではなくなった。試合の流れが変わり始めたのが30分過ぎ。大島を中心に徐々に圧力を強めていった川崎がボールを支配し始めたのだ。

 コンパクトな陣形を保ちつつボールホルダーにプレッシャーをかけてきた札幌の守備に動じず、39分にL・ダミアンのヘッド、44分には脇坂のヘッドでゴールを強襲。いずれも得点にならなかったが、45+3分には脇阪のCKから最後は阿部が左足で蹴り込んで、同点に追いついた。

 何度も決定機をフイにしてきた川崎にとって、阿部の同点弾は“負の歴史”(過去4回ルヴァンカップの決勝で敗退)を払拭する意味でも大きな1点だった。

 前半を終えて、川崎がシュート数(14本。札幌は7本)、支配率(63パーセント)ともに札幌を凌駕。スコアこそ1-1のタイだが、前半は内容で川崎が上回っていた。セカンドボールへの反応、その後の処理の速さがそうした展開になった一因と言えた。
 
 後半に入っても主導権を握ったのは川崎だ。右サイドの家長を起点に札幌ゴールへと迫り、58分と59分にはいずれも脇阪が決定機を迎えるなど(どちらもシュートミスでゴールにならなかった)、札幌にプレッシャーをかけ続けた。

 ジェイに代えてA・ロペスを投入し、カウンターを狙う札幌の攻撃に脅かされる場面もあったが、川崎がそこまで慌てる様子はなかった。64分に脇阪に代えて中村、73分にはL・ダミアンに代えて小林を投入した川崎も、その交代策がすぐさま効果を発揮したかと言えばそうではなく、停滞する時間帯もあった。それでもプレー一つひとつのクオリティは札幌のそれを上回っていた。

 技術の高さを見せつけたのが、88分のゴールシーン。試合の流れから言えば、必然のゴールだったのかもしれない。華麗なスルーパスを出した大島、そのスルーパスを胸トラップで収めてゴールに叩き込んだ小林のテクニックはまさしく一級品。これぞ川崎とも言える崩しだった。

 これで万事休すかと思われた札幌だが、意地を見せる。90+5分、福森のCKにドンピシャのタイミングで合わせた深井がヘッドで同点弾を叩き込んだのだ。川崎にとっては、セットプレーの怖さを思い知らされる場面だった。
 
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