【消えた逸材】リケルメ以上と評された「新しいマラドーナ」は、なぜ輝けなかったのか

カテゴリ:ワールド

チヅル・デ・ガルシア

2019年10月21日

行く先々でメディア関係者や対戦相手、時には監督と衝突

ペルーのUSMP時代。このクラブを最後に32歳の若さで引退を決意した。 (C)Getty Images

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 フットボーラーとしての素質は確かだった。だが、若くして母国を離れたマリネッリは、感情をコントロールできない内面的な未熟さを抱えていた。それがプレー内容にも大きく影響。ミドルスブラでは結局、レギュラーの座を確保できないまま3年間で通算42試合に出場、得点はわずか2ゴールという凡庸な成績に終わる。そして03年1月、21歳になる直前にイタリアのトリノにレンタルで移籍するのだ。
 
 セリエAでの挑戦に希望を抱き、心機一転で臨んだものの、トリノでも出番に恵まれなかった。結局は7試合に出場しただけでミドルスブラに復帰。以降もチャンスは与えられず、04年に古巣ボカへの帰還が決定した。
 
 カルロス・ビアンチ監督に導かれ、コパ・リベルタドーレスとインターコンチネンタル・カップ(クラブ・ワールドカップの前身)を制覇したばかりだったボカで再出発を図る決断を下したマリネッリは、国内で小さくない注目を浴びていた。
 
 しかし、レセルバの試合で感情をコントロールできずに退場処分となった一件がきっかけで、ビアンチ監督の信用を失い、トップチームでは一度も出番を与えられなかった。
 
 その後、ラシンへのレンタルを経て再びトリノに戻ったものの、またしてもレギュラーには定着できず、以降はポルトガル、アメリカ、コロンビア、ハンガリー、ペルーのクラブを渡り歩く。しかし、行く先々でメディア関係者や対戦相手、時には監督と衝突するなどつねにトラブルを起こし、その特大のポテンシャルは完全開花を見ないまま、15年に32歳の若さで現役を引退した。
 
 アルゼンチン代表の中心選手にまで上り詰めたライバルのリケルメがスポットライトを浴びるその裏で、キャリアのハイライトすら作れずにスパイクを脱いだのだった。
 
 現在はペルーに居を構え、代理人として第2の人生を歩んでいる。ペルー代表の守護神ペドロ・ガレセなどが主な顧客だ。
 
文●チヅル・デ・ガルシア
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年9月19日号より転載
 
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