FW対CBの「消耗戦」を制したチームが勝機を見出す【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年10月14日

キエッリーニやゴディンは守備のスペシャリスト

 守る側としては、ディフェンスの消耗を考えて人を入れ替えられ、3バックにして人を増やすことも考えられる。しかし守備で難しいのは、人を替えても、システムを替えても、混乱が起こりうる点だろう。

 守るという行為は、サッカーにおいては受け身であり、そこに変化を加えるのは、よほど練度の高いチームでない限り、難しい。逃げ切る、という行為が、腰を引ける、という状態と類語になるのだ。

 その点、イタリア代表ジョルジョ・キエッリーニ、ウルグアイ代表ディエゴ・ゴディンなどのCBは守備のスペシャリストで、どんな局面でも切り替えられる鮮やかな手並みを持っている。

 FWとCBの消耗戦は、避けて通れない。
 
 一時、「ゼロトップ」という言葉も流行っている。FWを起用しない。理論上、パス技術が高く、俊敏な選手をそろえることで、高い位置でボールを回し、致命的打撃も与えられる。リオネル・メッシのような傑出した選手がいれば、なおさらだろう。それは有効な手段の一つではある。

 しかし90分間を考えた時、ゼロトップの運用は難しいだろう。相手センターバックが“無傷な状態”では、陣形は堅牢なまま。それを破るのは至難の業だ。

 消耗戦を制し、その利点を生かして一発放り込めるか――。そこに勝負の分かれ目はある。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
 
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