僕とマラドーナ――昔も今も“模範的な英雄”への想い【南米サッカー秘蔵写真コラム】

カテゴリ:ワールド

ハビエル・ガルシア・マルティーノ

2019年09月23日

目に見えない強大な「何か」を持つ男

ヒムナシアの指揮官となったマラドーナ。就任に伴う公開練習では感極まる場面も見られた。 (C) Javier Garcia MARTINO

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 このあと、マラドーナは、当時リーベルの監督を務めていたラモン・ディアスに挨拶するため、相手チームのベンチに向かった。二人は犬猿の仲にあると言われていたが、マラドーナはピッチ外の問題を試合に持ち込むような人ではない。

 かつてのチームメイトが近寄って来ていることを知りながらもベンチに腰をかけたままだったディアスとは違い、わだかまりなど感じさせない態度で礼儀正しく堂々と挨拶をしたマラドーナは、その場にいた誰よりも紳士だった。

 そして皆さんもご存知のとおり、マラドーナはこの度、ヒムナシア・イ・エスグリーマ・ラ・プラタ(ヒムナシア)の監督に就任した。

 先日、お披露目となった公開練習とリーグ戦でのデビューの取材に行った時は、彼の存在感や影響力といった、目には見えない巨大な「何か」をずっしりと、改めて感じさせられた。彼が登場した瞬間、その場にいた全ての人々が感動のあまり硬直し、鳥肌を立たせ、涙を流したのだ。

 165センチ(も実際にあるかどうか定かではない)ほどの身体から滲み出るエネルギーは相当なもので、僕も久しぶりに至近距離から写真を撮りながら心臓が波打つような感じを覚えた。大袈裟に思われるかもしれないが、こんな感覚になったのは2010年のワールドカップ決勝戦の前にネルソン・マンデラが登場した時以来だ。

 たしかに私生活ではいくつかの過ちを犯したかもしれない。でも、僕が知っている「サッカー界でのマラドーナ」は、昔も今も模範的で英雄なのだ。ヒムナシアで新しい挑戦を始めた彼を応援せずにはいられない。

文●ハビエル・ガルシア・マルティーノ text by Javier Garcia MARTINO
訳●チヅル・デ・ガルシア translation by Chizuru de GARCIA
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