チームメイトたちが笑いに包まれるなか一人で――。
この写真は2006年6月、ドイツ・ワールドカップ開幕の数日前にアルゼンチン代表のキャンプ地だったヘルツォーゲンアウラハで撮ったリオネル・メッシだ。
恥ずかしい話だが、私はこの大会の直前まで、メッシのことを知らなかった。すでにバルセロナでプロデビューを飾り、「天才児」として注目されていたようだが、欧州のサッカーにほとんど興味を持たない私は、そのプレーを観たことがなかったのだ。
当時のアルゼンチンには、ファン・ロマン・リケルメやパブロ・アイマール、ハビエル・サビオラ、エルナン・クレスポといった大物たちがいた。この日も、当然のように私は、レンズを集中的に彼らの方に向けていた。メッシが目の前にいるのにほとんど気にも留めず、他の選手の写真ばかりを撮っていたなんて、今ではちょっと信じ難い話でもある。
そんな中、私はふとメッシに気をとられた。トレーニングの合間に彼がチームメイトたちの輪から離れ、ひとりでリフティングを始めたのだ。
恥ずかしい話だが、私はこの大会の直前まで、メッシのことを知らなかった。すでにバルセロナでプロデビューを飾り、「天才児」として注目されていたようだが、欧州のサッカーにほとんど興味を持たない私は、そのプレーを観たことがなかったのだ。
当時のアルゼンチンには、ファン・ロマン・リケルメやパブロ・アイマール、ハビエル・サビオラ、エルナン・クレスポといった大物たちがいた。この日も、当然のように私は、レンズを集中的に彼らの方に向けていた。メッシが目の前にいるのにほとんど気にも留めず、他の選手の写真ばかりを撮っていたなんて、今ではちょっと信じ難い話でもある。
そんな中、私はふとメッシに気をとられた。トレーニングの合間に彼がチームメイトたちの輪から離れ、ひとりでリフティングを始めたのだ。
カルロス・テベスとガブリエル・エインセがふざけながら取っ組み合いとなり、場が笑いの渦に包まれていた間、メッシは黙々とリフティングをしていた。座ったまま、時に足を交差させ、時に頭や肩を使って、巧みにボールを操る様子から目を離すことができず、私は独りぼっちの彼を連写した。
後に写真をチェックしていて気づいたのだが、当時のアルゼンチン代表監督だったホセ・ペケルマンは、この時のメッシを横目で鋭く、厳しい表情で観察していた。まるで、チームメイトたちに近寄ることなく、離れた場所で座っているメッシの行動を分析しているかのようだった。
もともと育成部門の指導者だったペケルマンだけに、まだ18歳だったメッシをどのようにしてピッチ内外でチームに融合させるべきなのか、そのプランを熟考していたに違いない。