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世界ベストイレブン候補DF部門にイタリア人なし……カルチョの国から名CBが消えた理由とは?

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2014年11月29日

伝統の「マンマークの技術」は、もはや消滅したと言っていい。

ルガーニ(写真)やロマニョーリなどU-21世代の有望株は、もちろんゾーンで育った。堅守イタリアの血は受け継がれず、マンマークの技術は平均レベルでしかない。 (C) Getty Images

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 マンツーマンディフェンスだけでなく、ゾーンディフェンスにおいても、自分のゾーンに入ってきた敵には1対1で付く必要があるし、ほとんどの監督はペナルティーエリア内ではマークを受け渡さずにマンツーマンを維持する守り方を基本にしている。
 
 しかしネスタ以降の世代では、育成年代からゾーンディフェンスを叩き込まれているがゆえ、敵との駆け引き、フィジカルコンタクトへの慣れ、身体の使い方など、マンマークの対人技術やノウハウをしっかり教わらずに育ってしまっているのだ。
 
 さらにイタリアの場合は、育成年代にまで結果至上主義が蔓延しており、本来ならば個人戦術を教え込むべきジョバニッシミ(U-15)の年代からすでに、基本的なマーク技術を疎かにしたままゾーンディフェンスを仕込み、結果を追求する指導者が多いという。
 
 カンナバーロが件の話をしてから約10年後の現在、イタリア代表の最終ラインは、81年生まれのバルザーリ、84年生まれのキエッリーニというオーバー30が主軸だ。この2人を比較すると、マンマーク技術では明らかにバルザーリに一日の長があり、“人を見失う”頻度もキエッリーニの方が高い。
 
 ユベントスでも代表でもこの2人のチームメイトである87年生まれのボヌッチは、高さとビルドアップの技術は水準以上だが、対人能力や注意力、集中力という点では疑問符が付く。
 
 その他の主なイタリア代表CBは、ラノッキア(インテル)、アストーリ(ローマ)、オグボンナ(ユベントス)など、真のワールドクラスと言えない20代半ばから後半の中堅。もはやこの世代になると、イタリアがカテナッチョ時代から受け継いできた“マンマークの技術”は、消滅したと言っていいだろう。
 
 現在、アッズーリの時代を担う若手として注目を集めているのは、ここ2回連続でA代表に招集された94年生まれのルガーニ(エンポリ)、そしてローマから武者修行に出されたサンプドリアでレギュラーに定着しつつある95年のロマニョーリだ。
 
 ともに高いビルドアップ能力を備えた現代的なタイプで、190センチ近い体格に十分なスピードとアジリティーを有し、アンティチポ(インターセプト)やカバーリングなど戦術的な能力も高く評価されている。
 
 ただ、マークの技術など1対1の対人能力に関しては、同世代のなかでは優れているが、絶対値としては平均を上回るレベルではないという声が多い。
 
 しかし、“伝統”が失われた現在のイタリアでは、もはやその部分には目をつぶるしかないのだろう。


※ワールドサッカーダイジェスト2014年12月4日号より
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