監督不在も公式戦2連勝! ドイツ代表の世代交代を成功させている原動力は?【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2019年06月16日

「僕らは若くてハングリーなチーム」とゴレツカは胸を張った

エストニア戦を終えたドイツ代表のメンバーたち。主将を務めたノイアーも笑顔で若きチームメイトを讃えた。 (C) Getty Images

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 さらに、今のドイツで若い選手への大幅な世代交代が順調に進んでいるのは見逃せないポイントだろう。

 レオン・ゴレツカは、エストニア戦前の記者会見で「チーム改革が進み、僕らは若く、タイトル獲得を本気で狙っているハングリーなメンバーだ。U-21欧州選手権優勝、リオ・オリンピック準優勝、コンフェデ杯優勝を果たしたときのメンバーが、A代表にたどり着いた」と語っていた。とにかく、ひとつひとつの試合に向けての意気込みがとても熱いのだ。

 誰もがチャンスをものにしようと必死で、自分たちでタイトルを狙えるチームにしようという意気込みで燃えている。そして、その気概は周りの人々をも巻き込んでいくのだろう。

 エストニア戦の取材ではプレス席のすぐ隣がVIP席だった。そこには、ドイツサッカー連盟(DFB)チームマネージャーのオリバー・ビアホフ、ドルトムント会長でDFL会長のラインハルト・ラウバル、そして元ドイツ代表キャプテンのフィリップ・ラームがいた。

 彼らは、終始熱のこもった応援をし、オフサイドでノーゴールの判定が下されると、立ち上がって文句を飛ばしていた。若者たちの熱意は、確実に広がっている。

 ロシアW杯の後、ドイツのサッカーファンの多くはグループリーグ敗退というショックをどのように処理したらいいか、答えが見つからないままだった。誰も満足していない。でもどう反応すべきかわからない。どこか気持ちが宙ぶらりんで、代表戦のスタジアムは人が集まらずに、雰囲気的にもあまりよくない時期が続いていた。

 しかし、4月のオランダ戦勝利、そしてこの6月の2連勝でようやく出口が見つかった。代表チームにファンが満足し、ファンのサポートに代表チームも満足できたことがなによりの収穫だった。

文:中野 吉之伴

【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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