苦戦の要因はいくつか挙げられる。まずは攻撃の強化を見据え、前線の組み合わせを試行錯誤している点だ。
 
　これまでポゼッションスタイルをベースに地上戦を得意としていたチームは、今季はさらなる得点力アップを目指して“高さ”を加えようと、元ブラジル代表FWレアンドロ・ダミアンを獲得。シンプルなハイボールも活用するなど、“２次元”から“３次元”の崩しを増やそうと試みている。しかし、現状では最適な選手の並びが見つけられていない状況だ。
 
　開幕から基本システムの４-２-３-１をベースにCFにL・ダミアンを据え、小林を中盤の右に回す形を多用したが、ACLの第２戦、シドニーFC戦ではL・ダミアンと小林の２トップ、前述したようにG大阪戦では知念の１トップを試すなど模索が続いている。
 
　また、オフにエウシーニョが退団した右SBでは新戦力の馬渡和彰、マギーニョ、そして鈴木雄斗や守田英正をテストしており、こちらも人材を探している最中だ。
 
　さらにACLとリーグ戦を戦う厳しい日程のなかで、ターンオーバーを取り入れる必要もあり、試合によって先発が変わるなかで、阿吽のパスワークで敵陣を切り崩すスタイルに、微妙なズレが生じているのだ。
 

　家長昭博は「皆、同じ方向を見てやっていますし、バラバラなことはない」とした上で、「グラウンドの上で0.5秒、1秒、サポートに入るのが遅くなっています。出す側も迷いがあると思いますし、もらう側も多少の迷いを感じていると思います。そういう小さいところが積み重なって自分たちらしい形が減ってきています。ゲームだけじゃなく、練習の中からちょっとしたズレがあると思います。負けが教えてくれることもありますし、謙虚に受け止めてやっていきたいです」と説明する。
 
　また谷口も「誰が出ても自分たちのスタイルに持っていけるところまでは、だいぶできるようになっているので、もう一個、レベルが上のところ。どう崩すか、そこの質、アイディアを改善したいです」と語る。
 
　幸いにもG大阪の後は代表ウィークを挟むため、２週間ほどゲーム間隔が空く。その期間で王者は立て直すことができるのか。目先の結果を求めて急ぐ段階ではないが、悠長に構えることもできない。L・ダミアンの活用法、右SBの人材探しなどを含めて上昇のキッカケを掴みたい。
 
取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）