対するハノーファーにとっても「最後のチャンス」

対戦相手のハノーファーは直近2試合をいずれも0-3で落としており、状況はシュツットガルトよりも悪そう。しかし、原口元気は「自分たちにとって最後のチャンス」と気持ちを切り替えている。激戦必至の一戦は日本時間3日23時30分よりキックオフされる。 (C) Getty Images
ブレーメン戦では、開始61秒で相手守備のミスを突き、スティーブン・ツバーが先制ゴール。前半終了間際にダフィ・クラーセンの見事なミドルシュートでブレーメンに追いつかれたが、ヴァインツィールは細かく守備戦術を調整しながら粘り強く戦い続け、敵地で貴重な勝点1を手にした。
シュツットガルトにとっては8試合連続未勝利となったが、ヒツルスペルガーSDは「我々が一歩前に進んだことを見てもらえたと思う」と、ポジティブに捉えているようだった。
シュツットガルトにとっては8試合連続未勝利となったが、ヒツルスペルガーSDは「我々が一歩前に進んだことを見てもらえたと思う」と、ポジティブに捉えているようだった。
来週もヴァインツィールが監督としてベンチに座るのか? との問いに対しては、「もちろん! ブレーメンで勝点1を取った。非常に価値のあるものだ」と答え、チームとして好プレーができていた内容も評価していた。
ヴァインツィール監督も、チームとして強い意志を見せながら戦ったことを称賛した。
「激しく戦って勝ち取った勝点1だ。前半に2度、確実に2-0にできるチャンスがあった。あれを決めていたら、もちろんもっと良い展開に持ち込めただろう。強いハートを持ち、チームとしての戦いで引き分けを勝ち取ったと思っている。これは、今後の残留争いでベースとなるものだ」
この試合に勝てれば言うことはなかったし、勝てるチャンスもあった。2点目を挙げるチャンスを逃したFWマリオ・ゴメスは、「僕がチャンスをモノにしていたら、2-0だった。幸運は今、僕のところにはない。でも、また前への一歩となった。勝点奪取は、我々にとって良いものだ」と、逸機を悔やみながらも、あくまでも気持ちは前向きだった。
ここで得たものをプラスに変えていくためには、今節のハノーファー戦の結果が非常に大事になる。この試合を落とすと順位は逆転し、直接降格圏の17位に落ち込むことになってしまう。
最低でも引き分け。負けたら、監督交代もあり得るだろう。対するハノーファーも、最後のチャンスと捉えて、この試合に全精力をかけて挑んでくる。意地と意地がぶつかり合う、激しい一戦となるだろう。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。