6、7人が相手ゴールに殺到する必要はない
そして若手で注目を浴びているのが、鹿島アントラーズの安部裕葵だろう。
ドリブルから中へ切り込んで、シュートまで行くかたちを持った選手は少なくない。しかし、安部はその迫力で抜きん出る。自然に(臨機応変に)相手の逆を取って、確信を持ってコースを選べているだけに、守る方が後手に回る。アジア全体で見ても、十代では最高の攻撃的タレントではないか。
ドリブルから中へ切り込んで、シュートまで行くかたちを持った選手は少なくない。しかし、安部はその迫力で抜きん出る。自然に(臨機応変に)相手の逆を取って、確信を持ってコースを選べているだけに、守る方が後手に回る。アジア全体で見ても、十代では最高の攻撃的タレントではないか。
日本はこうしたアタッカーを擁するだけに、チームとしてそこまでボールを運ぶことができたら、必ずチャンスを創り出せる。
何も6、7人が相手ゴールに殺到する必要はない。トルクメニスタン戦もそうだったが、それではむしろ裏を狙われ、守勢に回ることになる。原口、堂安、乾らを起点にし、個人技とコンビネーションを出し尽くせば、効率的に好機を作れるはずだ。
日本には、サイドから遊撃兵のように、相手を攪乱し、得点機を生み出せる選手がいる。彼らは一個の武器。それをどのように使えるか――。チームとしてのマネジメントが問われる。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。