ブラジルで挫折し日本の高校へ…元鹿島のカイオがクラブW杯決勝の舞台に辿り着くまで

カテゴリ:Jリーグ

小室功

2018年12月22日

セレクションに合格して日本行き。プロになるための最後のチャンスだった

鹿島ではルーキーイヤーからレギュラーに定着。2016年の1stステージ優勝を置き土産にUAEへと旅立った。(C) SOCCER DIGEST

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 プロ1年目はJリーグ通算30試合に出場し、8得点。外国籍選手としては初のベストヤングプレーヤー賞を受賞している。「僕のサッカー人生のなかで、忘れられない出来事になった」と、静かな口調で喜びを語っていた。

 背番号が33から7に変わったプロ2年目はJリーグ通算32試合に出場、二桁ゴールとなる10得点をマーク。ナビスコカップ決勝ではダメ押しとなるチーム3点目をゲットし、鹿島の3年ぶり6度目の優勝に貢献した。

 シーズンが終わる頃には中東への移籍が噂されたが、「鹿島への愛着」を理由に残留。が、しかし、16年の1stステージ制覇を置き土産についに海を越えた。新天地への挑戦を引き止めるには困難なほどアル・アイン側の条件は破格。鹿島は移籍を受け入れた。

 そもそも、ブラジルで生まれ育ったカイオが日本に来たのは、挫折があったからだ。名門サンパウロの下部組織でプレーしていたが、厳しい競争のなかでふるいにかけられ、プロへの道が閉ざされてしまう。あまりのショックにサッカーから離れていた時期もある。

 だが、日本行きのセレクションを受けた。これが今につながる大きな転機となった。17歳の時だ。
「家族や友だちと離れるのはすごく不安だったけれど、覚悟を決めた。プロになるための最後のチャンスだと思った」

 文化も習慣も違う日本での生活は戸惑いの連続だった。寂しさが募り、ホームシックにもなった。だが、くじけなかった。日本語をたくさん勉強し、“カイオ・ルーカス・フェルナンデス”と、自分の名前をササッとカタカナで書くこともできるようになった。

カイオは今、アル・アインの一員として世界中の耳目が集まる舞台に立っている。
 クラブワールドカップのプレーオフ(開幕戦)から勝ち上がり、準決勝で南米代表のリーベル・プレート(アルゼンチン)と激突。2-2からのPK戦の末、ファイナル進出を決めた。1-2とリードされた51分には、塩谷司との連係から鮮やかな同点ゴールも叩き込んだ。

 決勝の相手は“古巣”に快勝したビッグクラブのレアル・マドリー(スペイン)だ。不断の努力と才覚によって、選手としての価値を高めてきたカイオ。自身のサクセスストーリーに、今度はどんなエピソードを書き加えることができるだろうか。

取材・文●小室 功(オフィスプリマベーラ)
 
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