悲願のアジア制覇、20冠の金字塔――敬意、一体、伝統…鹿島らしさ溢れる90分

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年11月11日

20冠も鹿島にとっては感慨に浸るものではない

完全アウェーのなかで行なわれた第2戦。鹿島の選手たちは幾度も身体を張って第1戦のリードを守り切った。(C) Getty Images

画像を見る

 想定外があったのも事実だ。土居も昌子も、相手のロングボールが異様に多かったと口をそろえる。そんな慣れない地、慣れないスタイルにも、徐々にかみ合わせていく。気付けば三竿健は安部裕葵に大きなジェスチャーを交えながら指示を出すなど、あちらこちらで意思疎通の場が発生した。
 
 土居は「仲間同士で言い合えるのが大きい。みんなで勝ちたいという気持ちが、いろいろな形で出た結果だと思う」と言う。マカオでの準々決勝第2戦の天津権健(中国)戦、アウェーでの準決勝第2戦の水原(韓国)で発揮した自主性と対応力は、1メートルでも離れれば声の聞こえない絶大な効果を発揮した。これまで支えてきた内田篤人らは故障離脱。犬飼智也らはJ1リーグ戦でのターンオーバーで、チームに休養と勢いを与えた。ピッチ上だけで語れないプレーと貢献は、今の鹿島の一番の強みだろう。
 
 鹿島の選手からは、いわゆる喜びのコメントはないに等しい。それはタイトルを取って当たり前、優勝してなんぼという精神の裏返し。クラブのレジェンド、ジーコテクニカルディレクターが言う「人間は生きるために1日に食事を3回する。クラブはタイトルを取ってお腹を満たす。鹿島というのは、常にその意識でいないといけない」との言葉が浸透しきっている。
 
 Jリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯を含めた主要タイトルで、2位のG大阪の9個を大きく引き離す20冠。それでも鹿島にとって、これは感慨に浸るものではない。土居は「ここが始まり。これを機に国内タイトルと同じように、何回も何回も取りたい。この経験をした人たちが、何年たっても発信できるような思いでやれるといい」と話す。脈々と受け継がれる伝統は、勝負にこだわることで芽吹き、栄冠を掴むことで根付いていく。
 
 開いた扉は、世界へと続く。12月にUAEで開催されるクラブワールドカップの出場権を得た。北中米カリブ海代表のグアダラハラ(メキシコ)に勝てば、準決勝ではスペインのレアル・マドリードが待つ。2016年の決勝で屈した巨人だ。「僕たちにとって、リベンジの舞台」と昌子。試合終了から1時間もたたないうちに、早くも次なる大舞台へと目を移す。真っすぐな言葉に、ぶれない土台。未踏の地にも、鹿島らしさが詰まっていた。
 
取材・文●前川卓也(時事通信)
 
【関連記事】
西大伍の投稿がサポーターに大反響!! ACL初制覇の喜びに鹿島アントラーズの選手たちが勝利の記念写真!
「我らがアジアチャンピオン!」「さあレアルにリベンジだ!」最後まで”鹿島”らしさを失わずにACL初制覇!サポーターもガッツポーズ!
「10万人の心を挫折に追い込み、夢を実現した」AFCがACL初制覇の鹿島アントラーズを讃える!
ACL初制覇の鹿島、クラブW杯の初戦はグアダラハラ!勝てば準決勝でレアル・マドリーとのリベンジマッチに
鹿島が2戦合計2-0で悲願のACL初制覇!完全アウェーの第2戦をスコアレスドローで乗り切る

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ