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【野口幸司のリーガ見聞録|クラシコ編】マドリーよりバルサのほうが問題はより深刻かもしれない

カテゴリ:特集

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年10月25日

バルベルデはクラシコ限定で4-4-2を採用する可能性も。

昨シーズンに国内2冠を達成した4-4-2システムではなく、伝統の4-3-3にこだわるバルサ。ここまで思ったような結果は出ていないが、バルベルデ監督はクラシコでどちらのシステムを採用するのか。(C)Getty Images

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■バルセロナについて
 
 バルサは昨シーズンに優勝して、今シーズンも問題なく勝つだろうっていう見方だけど、バルベルデ監督ってホントは、昨シーズンに採用した4-4-2システムが好きなんだよね。それを今シーズンは、ちょっと変えようとしている。しかも噂では、クラブの周辺の人間やフロントから言われて、仕方なくそうしているみたいことも聞くしね。

 だから最近の流行でもある「可変スタイル」を採用して、攻撃時と守備時のシステムを変えようとしているみたいだけど、これを浸透させるのに苦労しているようだね。
 
 チャンピオンズ・リーグのトッテナム戦ではメッシがすごく守備をしていた。初めて見るくらいの。守備もできるんだっていうのを示してくれたけど、でもあれを1シーズン通してやっていたらメッシの選手としての寿命は確実に短くなるなっていうのも感じた。まあ、いずれにしても普通の状態のバルサではないなって感じで見てはいるかな。


■イニエスタがいないという不安
 
 本当かどうかわからないけど、ビダルがSNSでチームを批判するようなことを言ったとか、そういう懸念材料も出てきているし、同じ低迷しているとはいえ、僕はマドリーよりバルサのほうが問題は深刻だと思ってる。システムのことと、メッシの守備の負担と、不満分子。ビルバオ戦ではメッシとブスケッツを休ませていたけど、それだけでもう、バルサって感じがしない「普通のチーム」だったもんね。
 
 ずっと言われていることだけど、イニエスタやシャビに続いて、今後ブスケッツやメッシもいなくなったら…。とくにメッシの後釜は、簡単に見つかるものじゃない。そう考えると、将来的にバルサは極端に低迷するんじゃないかって少し心配になるし、イニエスタを失った今シーズンをどう乗り切るのかっていう不安は、ロナウドを失ったレアル以上に大きいかもしれない。
 
 
■失われたバルベルデ監督の修正力
 
 結果的に、なんだかんだ最後は勝ってるっていうのがバルサだったけど、今シーズンは勝ちきれなかったり、負けたりっていうことが普通にある。それはたぶん、コンディションのバラつきだったり、4-3-3をやるための準備が十分でなかったっていうのが、一番大きな原因だと思う。一番手っ取り早いのは4-4-2に戻すこと。すぐに良くなると思うけどね。
 
 クラシコに向けて、1試合限定で4-4-2に切り替えるということはあるかもしれない。あるいは、4-3-3でスタートして調子が上がらなかった後半から切り替える、みたいなね。それくらいクラシコは、勝つことが重要で、内容も問われるけど勝っておけば、すぐに解任論とかには発展しない。ただそれをやった場合、本当に4-3-3は上手くいってないんだなって思っちゃうんだけどね。
 

■気になる新戦力は

 今後注目しているのはアルトゥールの起用法かな。シャビのようなボールの受け方やリズムはあるけど、ブラジル時代は王様っぽい感じで、守備をそこまで求められていなかったと思うんだよね。でも、バルサのようなクラブでは新加入選手に特別扱いはない。そうすると、すべてやらなきゃいけなくなって、彼本来のプレースタイルが崩れてしまう。
 
 ただ、ひとつ希望があるとすれば、それはメッシがアルトゥールを認めはじめたってこと。直接聞いたわけじゃなく、そのようにコメントしていたっていう記事を目にしただけなんだけど、これが真実ならかなり大きい。自由を獲得するためには、バルサの場合、最初は監督よりメッシに気に入られるのが一番だから。メッシ自身が「アイツとはやりやすい」と言えば、監督も「やっぱりそうか」ってなるはずなんだよね。
 
 
■マドリーよりバルサのほうが厳しいと思う理由
 
 それは守備の部分。バルサと対戦するチームは、この間のバレンシア(8節)もそうだったけど、だいたい左サイド(バルサの右サイド)から攻めてくるケースが多い。これは憶測だけど、たぶん相手チームはそういうデータを持ってるんじゃないかな。
 
 メッシがどの位置まで追ってきて、どのタイミングでラキティッチがカバーに入り、そのとき、普段から高い位置をとることが多いサイドバックのセルジ・ロベルトやネルソン・セメドはどのポジションにいるか。そのあたりがうまく分析されているような気がするんだ。
 
 メッシが右サイドにいればまだいいけど、彼がゴール前にいるときはだいたいサイドバックはウイングの位置まで上がっているから、カウンターを仕掛けられれば、ダイレクトでブスケッツやピケのところまで持って行かれてしまう。これでは、どんなに可変スタイルで補おうとしても、補いきれないよ。これはもう、相手チームからしたら、「バルサのウィークポイント」として刷り込まれていることで、単純に1週間トレーニングしただけでは埋めきれないと思うんだよね。
 
 
取材協力:WOWOW
取材・文:竹田忍(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
※次回の『リーガ見聞録』は、11月第2週に配信予定。
 
―――――――
 
【解説者PROFILE】
野口幸司/元日本代表FW、Jリーグ1試合最多得点(5得点)記録保持者、アローレ八王子監督兼アドバイザー、WOWOW専属解説者 <選手経歴>フジタ→ベルマーレ平塚→川崎フロンターレ→名古屋グランパス→大宮アルディージャ(2000年引退) <日本代表歴>1試合出場0得点
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