06年、14年、そして今夏のロシア…
その一方で、日本サッカーは90分のマネジメントが決してうまくない。
06年ドイツ、14年ブラジルW杯では、ともにグループリーグ初戦で、オーストラリア(1-3)、コートジボワール(1-2)を相手に先制しながら、終盤に逆転負けを喫した。
相手にペースを奪われると、それを奪い返せない。ベンチワークだけでなく、ペースを変えられるような選手も見当たらないのである。これは、ロシアW杯の決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦で起こった悲劇(後半途中まで2-0でリードするも、土壇場で逆転負けを喫した)に繋がっている。
06年ドイツ、14年ブラジルW杯では、ともにグループリーグ初戦で、オーストラリア(1-3)、コートジボワール(1-2)を相手に先制しながら、終盤に逆転負けを喫した。
相手にペースを奪われると、それを奪い返せない。ベンチワークだけでなく、ペースを変えられるような選手も見当たらないのである。これは、ロシアW杯の決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦で起こった悲劇(後半途中まで2-0でリードするも、土壇場で逆転負けを喫した)に繋がっている。
試合のなかで相手が戦い方を変えるのは当たり前のことなのだが、日本サッカーはそれを苦手にしている。
監督の采配もひとつの問題だろう。しかし、選手自身の柔軟性にも改善の余地がある。日本人選手は研究心や規律には優れるものの、欧州や南米の選手のような駆け引きのうまさが発達し切っていない。自らの判断で流れを読むという点は、長所の裏返しの短所とも言えるか……。
もっとも、それは鍛えられなくはない。海外でのサッカーを経験した選手が逞しく映るのは、この点にある。様々なプレー環境を経験し、適応することで、自ずと柔軟さを身につけている。判断力が向上するだけでなく、肉体的にも下半身が強くなっていたり、身体の使い方に長けていたりと、肉体まで変化しているのだ。
臨機応変さ。
その意味の奥は深い。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。