スタメンから外した選手に「待っているぞ」と一声かける。西野朗は言葉の使い方にも長けた監督だ
ただ、好き嫌いがわりと出やすいタイプなので、肌が合わない選手はG大阪を出ていくことになる。新井場徹、吉原宏太、都築龍太らは去っていった選手の一例だ。
西野監督は、宮本のような主力選手がスタメンを外された理由について聞いてきた時は、きちんと話をした。宮本を始めスタメン落ちした選手は決して納得していなかったが、だからといって不満の声が出てくることはなかった。フラットな選手起用をしつつ、選手の年齢やチーム内のステイタスを考えて対応していたからだ。
例えば、主力のベテラン選手がベンチスタートにする時は事前に説明した。監督でありながら、中間管理職のようにコミュニケーションをするための扉をいつもオープンにしていたのだ。
西野監督自身、選手とよくコミュニケーションを取っていた。クラブハウスや遠征先で選手が読書している本や聞いている音楽などにも興味を示し、日常の会話や遠征先などでの食事中の選手の言動もよく観察していた。
西野監督は、宮本のような主力選手がスタメンを外された理由について聞いてきた時は、きちんと話をした。宮本を始めスタメン落ちした選手は決して納得していなかったが、だからといって不満の声が出てくることはなかった。フラットな選手起用をしつつ、選手の年齢やチーム内のステイタスを考えて対応していたからだ。
例えば、主力のベテラン選手がベンチスタートにする時は事前に説明した。監督でありながら、中間管理職のようにコミュニケーションをするための扉をいつもオープンにしていたのだ。
西野監督自身、選手とよくコミュニケーションを取っていた。クラブハウスや遠征先で選手が読書している本や聞いている音楽などにも興味を示し、日常の会話や遠征先などでの食事中の選手の言動もよく観察していた。
ただ、選手との付き合いには常に一線を引いていた。西野監督は在任中、プライベートで選手と食事に行ったことは一度もない。そういう付き合いから情が生じると、勝負の世界では絶対にプラスに働かないことを理解しているからだ。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長がハリル解任の理由のひとつに挙げた「コミュニケーション不足」は、西野監督には当てはまらない。コミュニケーションがオープンになったからといってチームが格段に強くなるわけではないが、話をすることで相互理解が進み、ハリル体制下で欠けていた監督・スタッフ、選手との一体感が生まれる環境が整う。日本人が発する微妙なニュアンスも西野監督は読める人。それを分かったうえで采配を揮えるかどうかは、実は日本人を指揮する際にはとても重要だと思われる。
G大阪時代、中盤で攻撃の要だった二川孝広の調子が今ひとつでスタメンから外した時、「待っているぞ」と一声かけた。選手は、そういうひと言を意気に感じて頑張ろうと思い、さらに良いパフォーマンスを見せようと努力する。
西野朗は、そういう言葉の使い方にも長けた監督なのだ。
文●佐藤俊(スポーツライター)
日本サッカー協会の田嶋幸三会長がハリル解任の理由のひとつに挙げた「コミュニケーション不足」は、西野監督には当てはまらない。コミュニケーションがオープンになったからといってチームが格段に強くなるわけではないが、話をすることで相互理解が進み、ハリル体制下で欠けていた監督・スタッフ、選手との一体感が生まれる環境が整う。日本人が発する微妙なニュアンスも西野監督は読める人。それを分かったうえで采配を揮えるかどうかは、実は日本人を指揮する際にはとても重要だと思われる。
G大阪時代、中盤で攻撃の要だった二川孝広の調子が今ひとつでスタメンから外した時、「待っているぞ」と一声かけた。選手は、そういうひと言を意気に感じて頑張ろうと思い、さらに良いパフォーマンスを見せようと努力する。
西野朗は、そういう言葉の使い方にも長けた監督なのだ。
文●佐藤俊(スポーツライター)