最後まで安定感がなく、実態がつかめなかったチーム…。
しかし、ここからのブラジルの反発は強烈だった。両サイドバックがためらうことなく強襲を始め、前半をリードして終えたい日本を自陣に釘付けにする。そして前半ロスタイム、クロスを上げたロナウジーニョへのチェックが甘く、シシーニョが絶好の折り返しを中央に送り、それをロナウドが頭でねじ込む。完全に振り回された挙句の失点だった。
後半になると、ブラジルは、2ボランチと2列目のふたりが絶えず縦の位置関係を変え、日本のマークを引き剥がすようになる。引いた相手を攻略する常套手段だが、個の能力が図抜けているブラジルだからこそ、いとも簡単に実践できるのだろう。
53分、日本はついに陥落した。
GK川口が「予想を上回る変化だった」と回顧する、ジュニーニョのミドル。堅守で日本を鼓舞してきた彼でさえ、「今の自分の実力では止め切れなかった」と言うしかない弾道だった。するとジーコ監督はすぐさま、小笠原に代えて中田浩二を入れ、中田英の位置を上げることとした。
昨夏のコンフェデレーションカップ・ブラジル戦で奏功した采配ながら、もはや勢いに乗ったブラジルを止めることはできない。攻めては弾き返され、サイドを蹂躙される。釣り出されて、中央を突き刺される。分刻みのピンチのなか、59分にジウベルト、81分にはロナウドに加点され、気持ちのよりどころさえ失ってしまう。高原が負傷退場してしまう不運はあったが、大黒将志を投入しても流れなどまったく引き寄せられず、あとは時間が経つのを待つばかりの状態であった。
2点差での勝利を信じて戦った90分間は、結果的に、ジーコジャパンがかつて味わったことがないほどの完敗劇で幕を閉じた。最後まで安定感がなく、実態がつかめない、陽炎のようなチームのままで……。
指揮官のコメントも好対照だ。
「ここからスパークできる。日本戦はチームを勢いづける意味で重要だったと確信する」(カルロス・アルベルト・パレイラ監督)
「前半をリードして終えていれば、後半は違っていただろう。ブラジルは自信に溢れ、我々は混乱することとなった」(ジーコ監督)
日本のワールドカップでの冒険は、ただただ、あっけなく終わった。
◆2006年6月22日 ドルトムント
日本 1‐4 ブラジル
【得点者】
日=玉田(34分)
ブ=ロナウド(44分)、ジュニーニョ(53分)、ジウベルト(59分)、ロナウド(81分)
【日本】
GK:川口
DF:加地、坪井、中澤、三都主
MF:稲本、中田英、中村、小笠原(56分中田浩)
FW:巻(60分高原→66分大黒)、玉田
【ブラジル】
GK:ジダ(82分R・セーニ)
DF:シシーニョ、ルッシオ、ファン、ジウベルト
MF:ジュニーニョ、G・シウバ、カカ、ロナウジーニョ(71分リカルジーニョ)
FW:ロビーニョ、ロナウド
※週刊サッカーダイジェスト2006年7月11日号より
後半になると、ブラジルは、2ボランチと2列目のふたりが絶えず縦の位置関係を変え、日本のマークを引き剥がすようになる。引いた相手を攻略する常套手段だが、個の能力が図抜けているブラジルだからこそ、いとも簡単に実践できるのだろう。
53分、日本はついに陥落した。
GK川口が「予想を上回る変化だった」と回顧する、ジュニーニョのミドル。堅守で日本を鼓舞してきた彼でさえ、「今の自分の実力では止め切れなかった」と言うしかない弾道だった。するとジーコ監督はすぐさま、小笠原に代えて中田浩二を入れ、中田英の位置を上げることとした。
昨夏のコンフェデレーションカップ・ブラジル戦で奏功した采配ながら、もはや勢いに乗ったブラジルを止めることはできない。攻めては弾き返され、サイドを蹂躙される。釣り出されて、中央を突き刺される。分刻みのピンチのなか、59分にジウベルト、81分にはロナウドに加点され、気持ちのよりどころさえ失ってしまう。高原が負傷退場してしまう不運はあったが、大黒将志を投入しても流れなどまったく引き寄せられず、あとは時間が経つのを待つばかりの状態であった。
2点差での勝利を信じて戦った90分間は、結果的に、ジーコジャパンがかつて味わったことがないほどの完敗劇で幕を閉じた。最後まで安定感がなく、実態がつかめない、陽炎のようなチームのままで……。
指揮官のコメントも好対照だ。
「ここからスパークできる。日本戦はチームを勢いづける意味で重要だったと確信する」(カルロス・アルベルト・パレイラ監督)
「前半をリードして終えていれば、後半は違っていただろう。ブラジルは自信に溢れ、我々は混乱することとなった」(ジーコ監督)
日本のワールドカップでの冒険は、ただただ、あっけなく終わった。
◆2006年6月22日 ドルトムント
日本 1‐4 ブラジル
【得点者】
日=玉田(34分)
ブ=ロナウド(44分)、ジュニーニョ(53分)、ジウベルト(59分)、ロナウド(81分)
【日本】
GK:川口
DF:加地、坪井、中澤、三都主
MF:稲本、中田英、中村、小笠原(56分中田浩)
FW:巻(60分高原→66分大黒)、玉田
【ブラジル】
GK:ジダ(82分R・セーニ)
DF:シシーニョ、ルッシオ、ファン、ジウベルト
MF:ジュニーニョ、G・シウバ、カカ、ロナウジーニョ(71分リカルジーニョ)
FW:ロビーニョ、ロナウド
※週刊サッカーダイジェスト2006年7月11日号より