サッカー部の寮に子どもたちと暮らすことで伝えたいものがある。
その考えは監督の私生活にも現われている。山田監督は校長先生という重責を担いながらも、自宅を改造した寮で今もなお生徒たちと寝食をともにしているのだ。1日の始まりは6時15分から行なわれる子どもたちとの朝の体操。朝食を取った後はサッカー部の朝練習に顔を出し、日中は校長先生として多忙なスケジュールをこなす。そして、16時から再びグラウンドで生徒たちを指導し、夜は寮に帰宅して彼らと寝食をともにする。
ただ、寮生活ではあまり細かく言わないのが山田流。「3LDKに1年生から3年生までが住んでいるけど、その場所は彼らの安らぎの場。上級生が偉そうにして、1年生が委縮してはいけない。逆に監督やコーチの悪口を言うことはOK。『山田バカヤロー』というほうがいい(笑)」というように、時に自らが嫌われ役となりながらも、いかに生徒たちがリラックスして過ごせるかを考えている。
その理由は次のような信念があるからだ。
「寮はリラックスできるような部屋でないといけない。誰かが調子悪そうだったら、どうしたという風に声を掛ける、勉強でも分からないところがあれば教え合いをする。そういうことをやっていくうちに、人間としてどんどん成長していく。それがチームやリーダーシップを学ぶことにつながる」
もちろん、寮生活上で最低限のルールは設けており、恩師の小嶺監督同様に「細かくルールは作っていて、冷蔵庫の中身とかはチェックしている」が、生徒たちと向き合いながらも成長できる場を作る作業に注力している。
また、県外から越境入学する選手の保護者には「コーチ陣から『山田先生が寮に泊まられて、一緒に生活をされているので安心ですよ』と、入学前に話をしています」と説明があるという。「大人がいないとダメだから」という想いで寮に住み込む山田監督の存在は保護者に大きな安心感をもたらしているようだ。
子どもたちと一緒に暮らしているからこそ、些細な変化にも気付く。寝坊などの私生活面から体調の変化を把握できる意味は大きい。校長先生と寝食を共にする寮など全国を探してもほとんどなく、親御さんたちが子どもたちを安心して預けられるのも納得だ。
選手たちと常に向き合ってきた山田監督。それは今冬に選手権初優勝という形で報われた。最後に山田監督に聞いてみた。毎日一緒に生活して大変ではないかと。すると、山田先生は笑顔でこう言った。
「日課になっているから苦ではないですよ(笑)」
本物の愛情を注いでいるからこそ、負担ではないのだろう。教育者・山田耕介は今日も全身全霊で子どもたちと向き合う。
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
ただ、寮生活ではあまり細かく言わないのが山田流。「3LDKに1年生から3年生までが住んでいるけど、その場所は彼らの安らぎの場。上級生が偉そうにして、1年生が委縮してはいけない。逆に監督やコーチの悪口を言うことはOK。『山田バカヤロー』というほうがいい(笑)」というように、時に自らが嫌われ役となりながらも、いかに生徒たちがリラックスして過ごせるかを考えている。
その理由は次のような信念があるからだ。
「寮はリラックスできるような部屋でないといけない。誰かが調子悪そうだったら、どうしたという風に声を掛ける、勉強でも分からないところがあれば教え合いをする。そういうことをやっていくうちに、人間としてどんどん成長していく。それがチームやリーダーシップを学ぶことにつながる」
もちろん、寮生活上で最低限のルールは設けており、恩師の小嶺監督同様に「細かくルールは作っていて、冷蔵庫の中身とかはチェックしている」が、生徒たちと向き合いながらも成長できる場を作る作業に注力している。
また、県外から越境入学する選手の保護者には「コーチ陣から『山田先生が寮に泊まられて、一緒に生活をされているので安心ですよ』と、入学前に話をしています」と説明があるという。「大人がいないとダメだから」という想いで寮に住み込む山田監督の存在は保護者に大きな安心感をもたらしているようだ。
子どもたちと一緒に暮らしているからこそ、些細な変化にも気付く。寝坊などの私生活面から体調の変化を把握できる意味は大きい。校長先生と寝食を共にする寮など全国を探してもほとんどなく、親御さんたちが子どもたちを安心して預けられるのも納得だ。
選手たちと常に向き合ってきた山田監督。それは今冬に選手権初優勝という形で報われた。最後に山田監督に聞いてみた。毎日一緒に生活して大変ではないかと。すると、山田先生は笑顔でこう言った。
「日課になっているから苦ではないですよ(笑)」
本物の愛情を注いでいるからこそ、負担ではないのだろう。教育者・山田耕介は今日も全身全霊で子どもたちと向き合う。
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)