監督に最後の花道を――名古屋U-18、涙のプレミア復帰の舞台裏

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2017年12月18日

彼らが見せた涙の理由。嬉しさと寂しさの両方が入り混じっていた。

試合終了のホイッスルが鳴り、ほとんどの選手たちがピッチで涙を見せた。写真・安藤隆人

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 迎えた参入戦。1回戦では長崎総科大附のU-18日本代表・FW安藤瑞季(3年)を中心とする強烈なアタッカー陣を、杉田、菅原を軸にした守備陣が身体を張ってブロック。後半25分に先制こそ許したが、途中出場のMF石田凌太郎(1年)がスピードに乗ったドリブルで試合の流れを一気に変えると、同35分にマツオカの同点弾を決めた。さらに足が止まって来た相手に容赦なく仕掛け、同45分には再びマツオカが決めて逆転に成功。アディショナルタイムには石田のダメ押しゴールで3-1の勝利を収めた。

 続く2回戦(プレミアリーグ参入決定戦)のコンサドーレ札幌U-18との一戦でも、1回戦同様に運動量を落とすこと無く、激しいプレスと身体を張った守りを披露。攻撃でも勢いよく仕掛け、前半34分には藤井陽也(2年)が高い打点のヘッドを決めて先制に成功した。その後は中盤の激しいプレスで札幌U-18にリズムを与えること無く試合を進め、後半アディショナルタイムには札幌U-18のセットプレーに相手GKも攻撃参加をしていた状況を跳ね返す。そして、そのクリアボールを拾った杉田が、無人のゴールに冷静に蹴り込んで試合に蹴りを付けた。

 2試合連続アディショナルタイムの追加点。その直後、タイムアップのホイッスルが鳴り響くと、名古屋の選手たちは大粒の涙をこぼしながら喜びを爆発させた。ほとんどの選手が号泣していたことからも、この試合に懸ける想いが伝わってきた。

 試合後、選手たちは髙田監督をはじめ、退任するスタッフを胴上げした。
「来年も一緒に戦いたいし、プレミアを制して胴上げがしたかった。でも、今日は勝っても負けても哲さんを胴上げするつもりでしたが、勝って胴上げできて良かった」(菅原)

 1年でプレミアに戻り、髙田監督に最後の花道を――。彼らはその想いを見事に結実させた。

「(僕の退任が)選手たちのパワーになったのなら嬉しいし、今年はプレミアに戻ることを一番に考えてやって来たので、勝ったことがすべてでした。欲を言えば、これがプレミアの決勝だったら良いのですが。正直、志半ばで去らないといけないのは複雑な思いがあります。こうして目の前で選手たちの物凄い頑張りを見たので余計に……。でも、僕はその分、次の場所で頑張りたいと思います」

 髙田監督は複雑な心境を覗かせながらも、教え子たちの心意気に心を打たれていた。

「来年は絶対にプレミアで上を目指したい。せっかくプレミアに戻してくれた3年生、髙田監督のためにも」(菅原)

 髙田イズムはしっかりと選手たちに引き継がれた。来年、プレミアの舞台に、ひと回り逞しくなった名古屋U-18が帰ってくる。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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