【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が考える「高体連とクラブユースの是々非々」

カテゴリ:Jリーグ

橋本英郎

2017年10月30日

シンプルなトレーニングでいかに集中して、質を高めて行なうか

東京ヴェルディもまた、長きに渡って育成ポリシーを守ってきたクラブ。現在もこの渡辺皓太(33番)などトップチームに数多のタレントを送り込んでいる。(C)TOKYO VERDY

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 3点目は、整った環境でプレーできるよう、トップチームからの支援を受けられるところです。これは高校サッカーのほうが以前は進んでいたと思います。OB会からの支援やOBのコーチによるサポートなどが多くあり、成長を助ける力になっていました。
 
 前述の点を含め、現在では下部組織でも寮の完備や食事の管理、高校チームとの提携などにより、サッカーにかけられる時間配分も変わってきて、よりソフト面、ハード面ともに環境整備が進んできたように感じます。
 
 そんななかで、僕自身は下部組織でなにを学び、成長してきたのか。そして、なぜガンバジュニアユース、ユースを経験した多くのタレントが代表レベルに到達できたのかを、僕なりに考察してみたいと思います。こちらは僕の体験から得たものなので、感覚的な部分が多く含まれています。その点をご理解の上、読んでいただけると嬉しいです。
 
 ガンバには創設期から一貫した指導方法があったと思います。クラブによってはトップチームの方針が育成年代に影響を与えてしまい、なかなか一貫した教育方針が取れていないチームが多くあるように感じます。その点、創設期から一貫した指導方法を続けているのは、ガンバと東京ヴェルディくらいではないでしょうか。
 
 ガンバの指導としては、止める、蹴るというボールを扱う上で一番大事になる部分を追求するこだわりがありました。ほかにもいろいろコンセプトはあったと思います。でも、自分の中で大きく残っているのはこの一点に尽きます。
 
 コーチからは何回も、良いところにボールを止められなければ良いキック、良いパス、シュート、そして周りを見渡す視野の確保はできないと言われていました。キックの質についても言われていましたが、まず思うところにボールが止められるか、そして止まったボールを思い通りのところに蹴れるか。これこそが大事だと、いまプロとして戦っていても感じます。
 
 よく数メートル、数センチの差で触れる、届く、届かないなどと言われますが、質の高いボールを蹴れたり、思い通りのところに止められるのであれば、そのプロの厳しい環境下でも落ち着いて良いプレーができると僕は思います。
 
 練習内容としても、ポストプレーからのシュート練習やミニゲーム、半面を使ったゲーム、全面を使ったゲームなどですから、なにか変わった特別な練習メニューやっていたわけではありません。簡単に言うと、「シンプルなトレーニングでいかに集中して、質を高めて行なうか」。そこに特化した練習だったと思います。
 
 なかでも一番時間を割いていたのは、3対1、4対2、6対3などのボールキープ、「鳥かご」と言われるボール回しでした。練習が始まる前に集合した選手から次から次へとグループをなしていき、ボール回しがスタートします。練習前のアップのようにしていましたが、気づけば練習時間まで割り込み、1時間近く続けることもありました。
 
 そのせいか、ユース出身者はボール回しが好きな選手が多くいます。なぜボール回しにこれほどの時間を割いていたのか。ここには明確な判断が含まれます。
 
 ポイントは3つあります。
 
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