「ここから下がっていったりはしない!」

ボランチとして新境地を切り拓きつつあるマイヤー。シーズン前は定位置争いで苦戦も予想された彼が、快進撃を続けるチームにおいて重要な役割を担っている。 (C) Getty Images

ドイツ代表でも注目の存在のひとりであるゴレツカ。以前からバイエルンも獲得を狙っている逸材は今シーズン、さらなる飛躍を遂げるか!? (C) Getty Images
小柄な体躯ということもあり、これまではプレーが軽い印象があったマイヤーだが、パーソナルトレーナーの下、週に3回は別メニューで肉体改造に取り組んだ成果もあり、十分な鋭さと強さが見られるようになった。
元々、一瞬のスピードには定評があった選手であり、その特徴を守備の局面でもうまく使えている。マインツ戦でも、一気に相手との距離を詰めて、ボールを奪取するシーンが多く見られた。
マイヤーがボランチのポジションで才能を開花しつつあることで、ゴレツカはひとつ前のポジションで、これまで以上に生き生きとプレーできている。
行動範囲が広く、ピッチの様々なところに顔を出せるという特徴がうまく発揮され、シャルケの攻撃を加速させていく。何より、その類まれなシュート技術を、よりゴールに近い位置で披露できる頻度が増えたことは、チームにとっても本人にとっても、大きなプラス材料だろう。
マインツ戦で見せた先制ゴールは、そうした特徴がかみ合った得点だった。好タイミングでスペースに飛び出すと、元ドイツ代表GKレネ・アドラーとの1対1の場面で冷静にループシュートを決めた。
「外したら、みんなを怒らせていたところだけど、今は自分の能力を信頼できるベースがあるんだ」と、ゴレツカはビルト紙の取材に答えている。
9節終了時で、シャルケは首位ドルトムントと勝点差4の5位。昨シーズンの同時期には勝点わずか8の12位だっただけに、好感触を掴んでいることだろう。とはいえ、シーズンはまだ長い。思い通りにいかない時期も来るだろう。
だからこそ、現状に満足することなく、これからも自分たちを向上させるために取り組んでいかなければならない。ゴレツカは語る。
「もちろん、上位にいるのは気持ちが良い。でも、それ以上に大事なのは、チームとしての成長だ。ここから下がっていったりはしない!」
強いシャルケを復活させるために、そして再び欧州の舞台にチームを導くために、マイヤーとゴレツカは闘い続ける。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
元々、一瞬のスピードには定評があった選手であり、その特徴を守備の局面でもうまく使えている。マインツ戦でも、一気に相手との距離を詰めて、ボールを奪取するシーンが多く見られた。
マイヤーがボランチのポジションで才能を開花しつつあることで、ゴレツカはひとつ前のポジションで、これまで以上に生き生きとプレーできている。
行動範囲が広く、ピッチの様々なところに顔を出せるという特徴がうまく発揮され、シャルケの攻撃を加速させていく。何より、その類まれなシュート技術を、よりゴールに近い位置で披露できる頻度が増えたことは、チームにとっても本人にとっても、大きなプラス材料だろう。
マインツ戦で見せた先制ゴールは、そうした特徴がかみ合った得点だった。好タイミングでスペースに飛び出すと、元ドイツ代表GKレネ・アドラーとの1対1の場面で冷静にループシュートを決めた。
「外したら、みんなを怒らせていたところだけど、今は自分の能力を信頼できるベースがあるんだ」と、ゴレツカはビルト紙の取材に答えている。
9節終了時で、シャルケは首位ドルトムントと勝点差4の5位。昨シーズンの同時期には勝点わずか8の12位だっただけに、好感触を掴んでいることだろう。とはいえ、シーズンはまだ長い。思い通りにいかない時期も来るだろう。
だからこそ、現状に満足することなく、これからも自分たちを向上させるために取り組んでいかなければならない。ゴレツカは語る。
「もちろん、上位にいるのは気持ちが良い。でも、それ以上に大事なのは、チームとしての成長だ。ここから下がっていったりはしない!」
強いシャルケを復活させるために、そして再び欧州の舞台にチームを導くために、マイヤーとゴレツカは闘い続ける。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。