空席となっていたレスターの新監督の座がようやく埋まった。現地時間10月25日にクラブは公式サイトで、フランス人指揮官のクロード・ピュエルを招聘することを発表した。
 
　新たにレスターを率いることになったピュエルは、過去にモナコやリール、リヨン、ニースなど母国フランスでキャリアを積み重ね、昨シーズンは日本代表DFの吉田麻也が在籍するサウサンプトンを指揮。プレミアリーグは８位に終わったものの、リーグカップではチームを決勝進出に導いていた。
 
　最も輝かしい功績として挙げられるのは、2009-10シーズンにリヨンをチャンピオンズ・リーグの４強へ導いたことだろう。同シーズンのリーグ・アンでは２位に終わりながらも、ミラレム・ピャニッチ（現ユベントス）やウーゴ・ロリス（現トッテナム）など中心に守備組織の取れたチームを作り上げて、欧州の舞台で望外の躍進を遂げた。
 
　そんな実績十分の指揮官を招聘したレスターは、プレミアリーグで降格圏の18位に沈んでことを受け、10月16日のWBA戦（プレミア８節）後にクレイグ・シェイクスピア監督の解任を発表していた。
 
　以降は、助監督のマイケル・アップルトンが暫定監督として指揮していたが、その後任に誰が就くのかを巡り、現地メディアはカルロ・アンチェロッティ（元バイエルン）やマヌエル・ペレグリーニ（元マンチェスター・C）、サム・アラダイス（元クリスタル・パレス）、ライアン・ギグス（元マンチェスター・U）といった大物監督の名前を取り上げていた。
 
　そうしたなかで着任したピュエルは、レスターの公式サイトで「このクラブの新監督になれて大変光栄だ」と語り、「近年素晴らしいことを成し遂げたチームを助けられる機会はとてもエキサイティングだ」と意気込んでいる。
 
　しかし、現地メディアの反応は決して良くはない。ほとんどが懐疑的な声を上げているのだ。
 
　地元紙『Leicester Mercury』は、ピュエルの監督就任を大々的に報道し、56歳のベテラン監督の手腕について次のように紹介している。
 
「彼は若手を育て、チームに馴染ませることに長けている。その一方で、サウサンプトンでは、プレミアリーグ38試合で41ゴールしか決められなかった守備的すぎる戦術にファンに不満を抱かせた」
 
　また、英国メディア『BBC』は、ピュエルについて「彼の就任は、シェイクスピア解任時に多くのレスター・サポーターたちが期待したものではない」と綴り、その理由を説明している。
 
「ピュエルの守備的な戦術にセント・メリーズ（サウサンプトンの本拠地）は寒くなっていた。そんなフランス人の問題はサウサンプトン・サポーターと一切の絆も深めようとしなかったその控えめな性格にある。彼の就任には多くの疑問の声が飛ぶだろう。決して賢明な招聘人事とは言えないからだ」
 
　現地10月29日に行なわれるエバートン戦からベンチに座る予定だというピュエル。英国内での”第一印象”はあまり褒められたものではないだけに、そうした印象を吹き飛ばす意味でも勝利が求められる。日本代表FWの岡崎慎司の起用も含めて、その手腕に注目だ。