【黄金世代】第4回・稲本潤一「若きサムライたちへ、名手からの伝言」(♯6)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年09月18日

やっぱりね、カズさんより先には辞めたくないんですよ。

9月16日の神戸戦で今季初のベンチ入り。稲本の本格復帰は、J1終盤戦を彩るひとつの“華”だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 稲本はいま、北海道コンサドーレ札幌で3シーズン目を過ごしている。長きに渡るリハビリを経て、7月下旬にようやく全体練習に復帰。公式戦出場に向け、最終チェックに余念がない。もうすぐ、僚友・小野伸二との共演も見られるだろう。
 
「いっつもシンジか僕のどっちかが怪我してますからね(苦笑)。そうやって楽しみにしてもらえてるのは嬉しいことやし、早くみなさんの期待に応えたい。いまは膝にまったく痛みがないんですよ。あとはゲーム感覚であったりリバウンドだったり。じっくり少しずつ上げているところなんで、焦らずにやります」
 
 9月18日で38歳になる。右も左も膝にはメスが何度か入り、怪我に泣かされてきた。いまも満身創痍だ。苦難を乗り越えさえ、イナを駆り立ててきた原動力とはなんなのか。そして近未来にやってくる引き際については、どう捉えているのだろうか──。
 
「引退かぁ。いやいや、イメージさえないですね。まず、引退試合とか絶対したくない。恥ずかしい(笑)。まあ怪我でどうしようもなくて、歩くのにも支障が出るようなものなら辞めることを考えるのかもしれんけど、必要としてくれるクラブがあるかぎりはプレーし続けたい。カテゴリーは問わずにね。
 
 いまの時代、いろいろほかのこともやりながら現役を続けてるひとは多いけど、僕にはできない。やっぱりね、カズ(三浦知良)さんより先には辞めたくないんですよ。ひと周りも年上のカズさんがやってて、しかも同い年にはまだバリバリでやってる選手がいる。張り合いになってますからね。こんな幸せなことはないですよ。引退とか、まだ絶対に考えられない」

 
 さすがに今回の離脱期間には、さまざまな想いが去来したようだ。
 
 昨年6月のジェフ千葉戦で右膝の前十字じん帯、および軟骨、内側側副じん帯の3か所を同時に傷め、全治8か月。春先のキャンプで一旦は復帰したが、今度は右膝の外側半月板と軟骨を損傷し、全治5か月と診断された。ここまでの離脱は、キャリアで最長だ。
 
「丸1年ですからね。ボールを蹴れない時期が長くて、あれこれ考えた。俺からサッカーがなくなったらなにもない。すごく無力に感じてた。だから、いままたボールを蹴れてることが素直に嬉しいし、感謝してる。サッカーを楽しみながらこれからも長くやっていきたい。いまは純粋に、その想いが強いかな」
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