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【小宮良之の日本サッカー兵法書】神がかり的なプレーも奇跡の勝利も、結局のところ要因はひとつ

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年07月27日

「スタジアムの熱気を高めるのはあくまで選手」

写真は03-04シーズンのCL準々決勝・第2レグ、バレロンが2点目を挙げた直後。説明不可能な奇跡の逆転により、デポルティボは前年度のファイナリストを連続で撃破した(決勝トーナメント1回戦の相手はユベントス)。 (C) Getty Images

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 もっとも、奇跡は待っていて起きたものではない。第1レグ、彼らは果敢に攻め、1点を奪った。結局はミランに押し切られて大敗に終わったものの、選手たちは「やれる」という手応えを掴んだという。実際、アウェーゴールを奪ったことも、彼らの背中を押した。
 
 運命の第2レグ、開始早々に好機を得たのは、絶対的有利なミランだった。しかし、ヨン=ダール・トマソンは、これを決められない。大差がついていたことで、フィリッポ・インザーギを温存したことが、裏目に出たと言えるかもしれない。
 
 対してデポルティボは、開始5分で先制に成功し、潮目を掴む。盛り上がるスタンドを背にして優勢に前半を戦い、バレロンは魔法のようなプレーを連発。前半のうちに3-0とし、合計スコアで逆転してみせる。後半に入っても流れを変えることなく、さらに1点を追加し、試合を決した。
 
 幾つかのプレーが、奇跡を誘導したのだろう。しかし、そこで生じる流れを、自分たちで意図的に創り出すのは難しい。
 
 プレーディテールが影響する事象でもあり、スタンドのファンが幾ら煽っても、風が吹かない時は吹かないし、流れはどうにもならない。そこには、監督の采配も含め、人知が及ばぬ領域がある。
 
 それでも、ピッチ上の11人は全力を尽くすしかない。バレロンは語る。
 
「スタジアムの熱気を高めるのは、あくまで選手のパフォーマンスだと思う。それによってスタジアムは盛り上がり、選手も気分が乗る。スタジアムが盛り上がるから、選手が良いプレーをするんじゃない」
 
 奇跡の体現者の言葉は、正鵠を射ている。結局のところ、試合の流れを味方につけられるか否かは、選手一人ひとりに託されているのだ。

文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
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