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【小宮良之の日本サッカー兵法書】U-20W杯は原石の見本市だが、将来を保証する舞台ではない

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年05月24日

サッカーは敗者復活戦の連続――敗者が勝者に、勝者が敗者に…

日本の選手が一瞬で置き去りにされた衝撃を覚えているファンも多いのでは? 03年にアーセナルでプロデビュー、05年にワールドユースで活躍と、オウス=アベイエは順調にトッププレーヤーへの道を歩むかと思われたが……。 (C) SOCCER DIGEST

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 プレー面では、スピードに頼り過ぎたのだろう。例えば、リオネル・メッシはスピードという“銃”を容易には撃たない。相手を誘い、逆をとり、緩急の変化ですり抜ける。それを丹念に繰り返しながら、ここぞという瞬間に、銃をぶっ放すのだ。
 
 オウス=アベイエはしかし、脚力で全てを解決しようとした。
 
 その結果、シーズンを通してレギュラーとして活躍したことがない。交代出場で実力を見せつけ、どうにか定位置を掴み取っても、また集中力を欠いて、プレーの質を落とし、ベンチでの生活を余儀なくされる。
 
 シーズンを通して戦っていないという現実は、どんどんツケとして溜まっていった。プレーヤーとしての幅、適応力を身につけられなかったのである。
 
 ワールドユースで早くも、オウス=アベイエはキャリア最高の輝きを放ってしまった。そこで花を咲かせたのだ。それはそれで、ひとつの人生かもしれないが……。
 
 逆説すれば、サッカーは敗者復活戦の連続とも言える。05年以降、オウス=アベイエに追いつき、追い越す選手が続々と出てきた。その競争が、サッカーというスポーツを支えている。言うまでもないが、クインシー自身が復活を遂げる可能性もゼロではない。
 
 諦めなければ勝負は続く――
 
 それは、人生そのものなのかもしれない。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
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