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残り3試合! 原点に戻ったアウクスブルクと歯車が狂ったハンブルク…1部残留を狙う両チームの明暗

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年05月04日

ハンブルクは生き残りを懸けた戦いに向けてミニキャンプを実施

明暗分かれた31節の直接対決。ハンブルクの酒井(24番)はボールロストで悪い流れをチームに招き、メディアから酷評されることに……。アウクスブルクの宇佐美は登録メンバーからも外れた。残り3試合での、両日本人の巻き返しにも期待したい。 (C) Getty Images

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 一方のハンブルクは、何ひとつ良いところがないまま負けてしまった。
 
 ショックは大きい。試合後控室へ戻る選手の様子は、失望と憤怒に溢れていた。ある選手はがっくりとうなだれ、またある選手は気持ちを抑え切れず、苛立ちが言葉となって、その口から飛び出していた。
 
 いつもだったら、どんな時でもミックスゾーンで足を止め、真摯に受け答えをしてくれる酒井高徳にも、時間が必要だった。彼は口を閉ざしたまま、姿を消した。
 
 28節にはCL出場圏内のホッフェンハイムをホームで2-1と下し、16位と勝点4差の13位に浮上したハンブルクだが、これで3連敗。どこで歯車が狂ってしまったのだろう……。
 
 もちろん、ブレーメンとの「北ドイツダービー」に敗れた悔しさは大きい。そして勝点を計算していた最下位ダルムシュタットに負けたのも、確かに痛かった。だがこの2試合、敗れはしたものの、試合内容自体はそこまで悪くはなかった。
 
 それが、このアウクスブルク戦では、全てが悪かった。唯一、普段通りのプレーを見せていたのが、普段はU-23チームでプレーするGKトム・ミッケル。正GKレネ・アドラー、第2GKクリスティアン・マテニアの負傷で急遽、ゴールマウスに立ったのだ。
 
 彼がいなかったら、0-6、0-7で負けていてもおかしくない試合展開だった。この試合のチームパス成功率は、わずか60パーセント。チーム総走行距離は、後半戦チームワーストの106.5キロだった。
 
 数字はあくまでも、側面しか表わさない。パス成功率が低くてもゴールチャンスに繋がるパスを狙い続け、実際に作り出していれば、それは価値のある数字となる。走行距離にしても、しっかりと守り、攻めていれば、バランスの良い試合運びができたことの証明となる。
 
 だが、この日のチームパフォーマンスは、そうした付加価値が何もなかった。攻撃では一度もチャンスらしいチャンスがなく、守備では相手に振り回され続ける。ダッシュで相手との距離を詰めることもなければ、パスが4、5本と繋がることもない……。
 
 DFメルギム・マブライは「1部リーグのプレーじゃなかったし、ハンブルクに相応しいものではなかった。ファンにあんなプレーを見せてしまったことに、すごくガッカリしている」と、言葉を絞り出していた。試合後にブーイングを浴びたのも、理解できる話だ。
 
 13-14、14-15シーズンと、2年連続で入れ替え戦に出場した時は、何とか勝った。しかし、今度も大丈夫、と安心できる要素は何もない。
 
 幸か不幸か、ハンブルクはまだ、今週末にマインツ戦、そして最終節でヴォルフスブルク戦と、残留を争うライバルとの直接対決を残している。負ければ「ジ・エンド」だが、「勝てば生き残れる」というシンプルな構図は、今の彼らにとっては、やるべきことがはっきりして良いのかもしれない。
 
 チームは木曜日から2日間、ハンブルクから90キロ離れたロテンブルクというところで、ミニキャンプを張ることになった。
 
 今シーズン、ホームでは7勝3分5敗と勝ち越しているハンブルク。一方、マインツはアウェーで3勝2分け10敗と、大きく負け越している。分の良いはずのこの一戦の結果が、最終順位への決定的な一打となりそうだ。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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