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【黄金世代】第1回・小野伸二「天才は3度のW杯でなにを得て、なにを失なったのか」(♯3)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年05月02日

海外の選手特有の威圧感ってやっぱりある。

日本国内でも成長できると信じていた小野だが、フェイエノールト移籍でその価値観に変化が。(C)Getty Images

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 2001年夏、小野は欧州へと旅立った。オランダの名門フェイエノールトへの移籍だ。だが当初、海外挑戦に関してはあまり乗り気ではなかったという。
 
「冬のトレーニングキャンプに1週間くらい参加させてもらった。1月だったかな。(ロッテルダムの)空は暗くてどんよりしてて、なにより寒い。サッカーはけっこう面白いなとは思ってたんですけど、それでも行かないかなぁと。
 
 でも帰って来てから話がどんどん進んで、夏の移籍が決まったんです。個人的には、高い意識さえ持っていれば日本国内にいても世界のトップレベルの選手に近づける、成長できると思ってた。だけど、実際に海外に行ってみて、あ、こういう環境にいないと気付けないことってあるんだなって感じましたね。
 
 自分が考えてた以上の違い。例えば、海外の選手特有の威圧感ってやっぱりあるんですよ。日本でやってるだけだと、いきなり対峙したときにどうしても圧倒される。でも日常的に周りがみんなそうだから、いずれなにも感じなくなる。そういうメンタル的な違いってのも感じましたね」

 
 才能に恵まれながら、志半ばで帰国を余儀なくされるサムライが後を絶たない。得てして最大の足枷となるのが、コミュニケーション能力の低さだ。
 
 わたしは当時、移籍した小野を追ってロッテルダムに乗り込んだ。そこで目の当たりにしたのは、ベルト・ファン・マルバイク監督やピエール・ファン・ホーイドンク、ヨン・ダール・トマソン、そして若き日のロビン・ファン・ペルシらと談笑しながら、チームの輪にしっかり食い込んでいるスキンヘッドの雄姿だった。
 
 オランダ語はおろか英語すらさして話せなかったはずだ。その意思伝達力は尋常ではない。
 
「どうやったらチームに溶け込めるかとか、いろんな部分を考えてましたね。サッカーにおいて言葉はいらない。ピッチに立ってなにをしたいのか、監督はなにを求めてるのか、仲間がどういうタイプなのか、左利きなのか、そういうのを全部自分のなかで整理する。そこさえうまく掴んじゃえば、普通にサッカーができるわけですよ。それがなにより大事。
 
 サッカーが終わったあとのコミュニケーションとかは、まあなんとかなる(笑)。ちゃんとサッカーがやれていればね」
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