この時のPV （https://www.youtube.com/watch?v=NvvlhFwvdrc）やブログ（https://lemonpartywantsyou.wordpress.com/tag/partito-del-limone/） を見せられて、「この人物が８年後には数百億円の資金を動かす投資ファンドの代表として、セリエAの中堅クラブ買収に乗り出すことになる」と聞かされたら、誰もがあり得ない話だと笑い出すに違いない。
 
　実際、３月６日に買収が発表され、２年前からクラブの売却を公言してきたザンパリーニ前会長が、中東やアメリカの投資家と交渉を繰り返した末にやっと見出した買い手が、「あのタトゥーだらけのレポーター」だったと分かった時、SNS上に広がった反応は「困惑」か「爆笑」かのどちらかだった。
 
　買収決定のニュースを伝えたマスコミ報道の多くも、カジュアルなセーター姿でザンパリーニ前会長と握手しているバッカリーニ新会長の写真だけでなく、派手なタトゥーに覆われた裸の上半身を露出した「レモン党」時代の写真を並べて、その特異なプロフィールを強調するものだった。
 
　パレルモの公式サイトに発表されたリリースによれば、バッカリーニはタレント活動の後、自身の資産運用からスタートして投資ビジネスに興味を持ち、金融の世界に入って小さな投資ファンドを設立。実績を積み上げながらビジネスの規模を拡げ、米英の投資家や銀行の出資を得て設立したインテグリタス・キャピタルを通してパレルモを買収することになったとされる。
 
　３月７日の発表記者会見では、売り手のザンパリーニ前会長が「100％信頼できる。パレルモ・カルチョへの投資に始まって、スタジアムとトレーニングセンターの建設を進めるという合意の元に契約を交わした。彼らは３～５年の間にヨーロッパ進出（欧州カップ戦出場）を目指すという目標を掲げている」と満足そうな表情を浮かべた。
 
　そして、バッカリーニ新会長も「アメリカ、イギリス、ドイツ、南米など世界中にシチリア出身の移民とその子孫がいる。彼らはみんなパレルモのサポーターだ。このクラブは信じられないポテンシャルを秘めている。それを最大限に引き出すのが目標だ。私がどんなイメージで見られているかは十分にわかっているが、会長として相応しいかどうかはこれからの仕事の結果を見て判断してほしい」胸を張った。