「パレルモを維持していくだけの資金力を持っているという裏付けがない」
しかし、そのバッカリーニが代表する投資ファンド、そしてその資金力については、今なお不透明な部分が少なくない。
イタリア唯一の経済紙『イル・ソーレ・24オーレ』(日本で言えば日経新聞にあたる)はこう書いている。
「パレルモを買収したというインテグリタス・キャピタルは、金融情報データバンクによれば事実上の休眠会社であり、資本金すなわち総資産は1250ポンド(日本円換算で約18万円弱)でしかない。確かに、ファンドとして運用している資金がどれだけあるのかは未知数だ。しかし、売上高9000万ユーロ(約108億円)に対し、過去5年間の累積赤字が5000万ユーロ(約60億円)、さらに借入金が1億2000万ユーロ(約144億円)に達しているだけでなく、来シーズンはセリエB降格が濃厚(28節終了時点で残留圏内まで勝点7差の18位)という状況に置かれているパレルモを買収して、維持していくだけの資金力を持っているという裏付けが、今のところ見当たらないことも確かだ」
バッカリーニ新会長は、7日の就任記者会見でもその後も、インテグリタス・キャピタルの資本構成や投資家の内訳などについての詳しい情報を開示していない。
今のところ分かっているのは、4月19日までに、ファンドの出資を受けてパレルモの全株式を買い取るオーナー会社の詳細を明らかにし、同30日までに株式譲渡の最終手続きを行う、というところまで。まだ買収手続きが完全に終了していないにもかかわらず、すでにクラブの会長に就任しているというのも異例である。
バッカリーニ新会長は、さっそく3月12日夜のローマ戦をスタンドから観戦し、試合後にはTVのインタビューに答えるなど、会長としてのプレゼンスを通してマスコミやサポーターの共感と支持を獲得するために動き始めている。
インタビューでは相変わらず「資金については、ザンパリーニ前会長が安心しているのだから、皆さんも安心できるはずだ。これから積み上げる事実と実績で評価してほしい」と繰り返している。
現時点では、4月末までにすべての手続きが予定通り終わり、新オーナーの資金的バックグラウンド、そして新経営陣の顔ぶれが明らかになるのを待つ以外にはないが……。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
イタリア唯一の経済紙『イル・ソーレ・24オーレ』(日本で言えば日経新聞にあたる)はこう書いている。
「パレルモを買収したというインテグリタス・キャピタルは、金融情報データバンクによれば事実上の休眠会社であり、資本金すなわち総資産は1250ポンド(日本円換算で約18万円弱)でしかない。確かに、ファンドとして運用している資金がどれだけあるのかは未知数だ。しかし、売上高9000万ユーロ(約108億円)に対し、過去5年間の累積赤字が5000万ユーロ(約60億円)、さらに借入金が1億2000万ユーロ(約144億円)に達しているだけでなく、来シーズンはセリエB降格が濃厚(28節終了時点で残留圏内まで勝点7差の18位)という状況に置かれているパレルモを買収して、維持していくだけの資金力を持っているという裏付けが、今のところ見当たらないことも確かだ」
バッカリーニ新会長は、7日の就任記者会見でもその後も、インテグリタス・キャピタルの資本構成や投資家の内訳などについての詳しい情報を開示していない。
今のところ分かっているのは、4月19日までに、ファンドの出資を受けてパレルモの全株式を買い取るオーナー会社の詳細を明らかにし、同30日までに株式譲渡の最終手続きを行う、というところまで。まだ買収手続きが完全に終了していないにもかかわらず、すでにクラブの会長に就任しているというのも異例である。
バッカリーニ新会長は、さっそく3月12日夜のローマ戦をスタンドから観戦し、試合後にはTVのインタビューに答えるなど、会長としてのプレゼンスを通してマスコミやサポーターの共感と支持を獲得するために動き始めている。
インタビューでは相変わらず「資金については、ザンパリーニ前会長が安心しているのだから、皆さんも安心できるはずだ。これから積み上げる事実と実績で評価してほしい」と繰り返している。
現時点では、4月末までにすべての手続きが予定通り終わり、新オーナーの資金的バックグラウンド、そして新経営陣の顔ぶれが明らかになるのを待つ以外にはないが……。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。