ミランの中国売却はもはや破談も…とはいえベルルスコーニ時代継続も困難だ

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年03月05日

次の買い手を探すにしても「値下げ」は避けられない。

株主総会ではまたも売却が決まらず怒り心頭の株主たちからは、メガクラブから強い引きがあるこのドンナルンマの去就を懸念する声が挙がったという。写真:Alberto LINGRIA

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 今回の延期を巡って一部のマスコミは、2013年にベルルスコーニがクラブ売却を決心して以来、昨夏にインテルを買収した蘇寧グループ、2014年にバレンシアを買ったシンガポールの富豪ピーター・リムなどもミランに興味を示したものの、10億ユーロ(約1200億円)という値札の“不当な高さ”に驚いて手を引いた、という裏話を報じている。
 
 10億ユーロという金額は、2013年にエリック・トヒルがインテルを買収した時の評価額(3億9000万ユーロ)の2.5倍にもあたる数字だ。SESによる今回の買収のベースになっている評価額は負債の引き取り込みで7億4000万ユーロ(約888億円)だが、これもミランの現在の資産価値と比べると明らかに過大評価だという見方が強い。
 
 ベルルスコーニはミランを買収した1986年からの30年間で、ミランにおよそ12億ユーロ(約1440億円)の資金を投下してきた。そのできるだけ多くの部分を売却によって回収したいという執着が、これまでも現在も買い手の幅を狭めてきたという声もある。
 
 とはいえ、もしSESによる買収話が最終的に破談になったとしても、ベルルスコーニがこのままミランを持ち続ける可能性は低いとも言われている。
 
 現在、フィニンベストの実権を握っている長女マリーナ・ベルルスコーニは、年間5000万ユーロを超える規模で赤字を垂れ流しつづけるミラン(今シーズンの赤字は7500万ユーロ前後に達する見通し)を、これ以上保有することはできないと明言しているのだ。
 
 したがって、もしこのままSESとの交渉が破談に終わったとしても、フィニンベストはすぐに次の買い手探しに動かなければならないだろう。そうなった時にはおそらく、「値下げ」も避けられない。ミランの未来はいまだ霧の中である。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
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