今度こそ期待できる!? キャプテン酒井の下、“当たり前のもの”を取り戻したハンブルク

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年02月17日

全員が戦っているというアクションが勝因であり、勢いの素に。

選手が同じ目標とビジョンを共有し、与えられた役割において常に全力を尽くす。その姿勢が完全に浸透すれば、ハンブルクは下位とは縁遠い存在となるはずだ。写真はライプツィヒ戦後。 (C) Getty Images

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 キャプテンの酒井が、DFBカップのケルン戦後にこう語っていた。
 
「(今日は)ボールを取られた時に、前の選手が後ろから戻ってボールを取り返すっていうシーンがすごく多かったんですよ」
 
「体力的にきついなかで、頑張ってボールを取るっていうのは、今の自分たちのいる順位とかを考えたら簡単なことじゃない。でも、労を惜しまずにみんな戻ってきて守備したっていう戦いぶりが、全員が戦っているアクションというのが、勝因というか、自分たちを勢い付ける要因のひとつでした」
 
「インゴルシュタットに負けてから、『苦しいのは分かるが、それがベースじゃなきゃダメなんだ!』って、監督は言ってました。しんどいけど、それを続けられるチームが強くなっていくんだと思います」
 
 この調子を保ち続けることができるかどうかは、まだ分からない。だがハンブルクは、ひとつの壁を乗り越えたのではないだろうか。それは「勝って兜の緒を締めよ」ではないが、酒井のキャプテンとしての姿に、チームの思いが表われていると感じたからだ。
 
 印象的なシーンがある。ケルン戦の終了間際、途中出場でボランチに入ったパパドプーロスが持ち場を離れて攻め上がろうとしたのを見た酒井は、大きなジェスチャーを交えて、大声で怒鳴りつけていた。 
 
「意識したいなって思うし、意識させたいなって思う。ひとりがちょっと怠けたら、しっかりガツンと言わなきゃいけない」
 
 酒井の言葉にブレはない。
 
 今度こそ、ハンブルクはひとつのチームになれたのかもしれない。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
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