橋本「これから上向いていくムードがたしかにある」

昨季後半戦は2列目に配置されフル稼働した二川。意外にも(?)東京の水が合っているようだ。(C)SOCCER DIGEST

早くも若手の多くが橋本のアドバイスに助けられているという。東京Vにとっては願ってもない“新戦力”に。(C)SOCCER DIGEST
このふたりをヴェルディに連れてきた張本人が、竹本一彦GMである。
前身の読売クラブ時代にベレーザを強豪に育て上げ、1999年から2004年まではガンバでコーチや暫定監督を歴任した。若き日の橋本と二川が影響を受けた人物のひとりだ。その後は柏レイソルとFC今治で辣腕を発揮し、2014年夏、18年ぶりに古巣に舞い戻った。強化責任者としてチーム改革の陣頭指揮を執り、2017年シーズンを勝負の一年と位置付けている。かつてセルタをチャンピオンズ・リーグ16強に導いたスペインの智将、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の招聘に成功した。
個々の役割やポジショニングを緻密に設定し、攻守両面での連動性の高いサッカーを標榜するロティーナ監督。竹本GMはそのスタイル構築のための重要なピースとして、橋本に白羽の矢を立てたのである。
「こういうサッカーをしたいから、ハシ(橋本)にはこんな役割を期待しているという話をして、受けてくれました。なにより我々のプロジェクトに賛同してくれたというか、そこに楽しさを見出してくれているのが嬉しい。さっそくピッチ内外で存在を示してますよ」
筆者が訪れたのは、チーム始動からまだ4日しか経っていないタイミングだった。軽くアップしたのちはすぐさまボールを使って身体をほぐし、実戦形式のフォーメーション練習を徹底して繰り返す。スペイン本国でも厳格さに定評がある、これこそがロティーナ流だ。気になるところがあればプレーを止め、こと細かにポジションを修正し、選手たちは難易度の高い要求を突き付けられる。当然、ヴェルディの大半を占める若手の間では、動揺と戸惑いが広がっていた。
そんななか、悠然とプレーしていたのが橋本と二川だ。西野ガンバやイビチャ・オシム体制下の日本代表で釣り上げられたフットボールIQは、やはり伊達ではない。橋本は動きのぎこちない選手にレクチャーを施し、驚いたことにあの二川も背中で若手をリードしていた。あるクラブ関係者は、「フタさん(二川)は本当に楽しそうにしてますよ。若手に慕われてるのもありますが、なにより自分のスタイルに合った監督が来たのが嬉しいみたいです」と教えてくれた。
一方で、橋本の意見は手厳しい。
「訊いてくれれば教えますけど、どうなんですかね。若手とか巧いし、柔軟性もありますよ。でも、監督の話をちゃんと聞いてない。求められる動きができないのは当然で、ぜんぜん違う動きをしてますから。まずはそこからやないでしょうか」
二川はそんな橋本の存在が心強いと言う。
「ハシくんみたいな経験のある選手は、いまのヴェルディには必要やと思います。チームに溶け込むのが早いし、やっぱり若い選手に教えるのも巧い。僕は……練習は楽しいですね。これを続けていけば、いいサッカーができるんじゃないかと思ってます」
システムは3-4-3が基本となりそうだ。ヴェルディ伝統の強みである中盤のタレントは豊富で、橋本と二川は中後雅喜、内田達也、梶川諒太、井上潮音、渡辺皓太といった選手たちとポジションを争う。
はたして緑の名門はスペイン人指揮官の下でソリッドな戦術を体得し、昨季18位から昇格圏に浮上できるか。「これから上向いていく、そんなムードがたしかにある。だからこそヴェルディに来た。面白くなっていくと思いますよ」と、橋本は不敵に笑った。
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
前身の読売クラブ時代にベレーザを強豪に育て上げ、1999年から2004年まではガンバでコーチや暫定監督を歴任した。若き日の橋本と二川が影響を受けた人物のひとりだ。その後は柏レイソルとFC今治で辣腕を発揮し、2014年夏、18年ぶりに古巣に舞い戻った。強化責任者としてチーム改革の陣頭指揮を執り、2017年シーズンを勝負の一年と位置付けている。かつてセルタをチャンピオンズ・リーグ16強に導いたスペインの智将、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の招聘に成功した。
個々の役割やポジショニングを緻密に設定し、攻守両面での連動性の高いサッカーを標榜するロティーナ監督。竹本GMはそのスタイル構築のための重要なピースとして、橋本に白羽の矢を立てたのである。
「こういうサッカーをしたいから、ハシ(橋本)にはこんな役割を期待しているという話をして、受けてくれました。なにより我々のプロジェクトに賛同してくれたというか、そこに楽しさを見出してくれているのが嬉しい。さっそくピッチ内外で存在を示してますよ」
筆者が訪れたのは、チーム始動からまだ4日しか経っていないタイミングだった。軽くアップしたのちはすぐさまボールを使って身体をほぐし、実戦形式のフォーメーション練習を徹底して繰り返す。スペイン本国でも厳格さに定評がある、これこそがロティーナ流だ。気になるところがあればプレーを止め、こと細かにポジションを修正し、選手たちは難易度の高い要求を突き付けられる。当然、ヴェルディの大半を占める若手の間では、動揺と戸惑いが広がっていた。
そんななか、悠然とプレーしていたのが橋本と二川だ。西野ガンバやイビチャ・オシム体制下の日本代表で釣り上げられたフットボールIQは、やはり伊達ではない。橋本は動きのぎこちない選手にレクチャーを施し、驚いたことにあの二川も背中で若手をリードしていた。あるクラブ関係者は、「フタさん(二川)は本当に楽しそうにしてますよ。若手に慕われてるのもありますが、なにより自分のスタイルに合った監督が来たのが嬉しいみたいです」と教えてくれた。
一方で、橋本の意見は手厳しい。
「訊いてくれれば教えますけど、どうなんですかね。若手とか巧いし、柔軟性もありますよ。でも、監督の話をちゃんと聞いてない。求められる動きができないのは当然で、ぜんぜん違う動きをしてますから。まずはそこからやないでしょうか」
二川はそんな橋本の存在が心強いと言う。
「ハシくんみたいな経験のある選手は、いまのヴェルディには必要やと思います。チームに溶け込むのが早いし、やっぱり若い選手に教えるのも巧い。僕は……練習は楽しいですね。これを続けていけば、いいサッカーができるんじゃないかと思ってます」
システムは3-4-3が基本となりそうだ。ヴェルディ伝統の強みである中盤のタレントは豊富で、橋本と二川は中後雅喜、内田達也、梶川諒太、井上潮音、渡辺皓太といった選手たちとポジションを争う。
はたして緑の名門はスペイン人指揮官の下でソリッドな戦術を体得し、昨季18位から昇格圏に浮上できるか。「これから上向いていく、そんなムードがたしかにある。だからこそヴェルディに来た。面白くなっていくと思いますよ」と、橋本は不敵に笑った。
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)