ドルトムント以外で、本気でバイエルンに立ち向かう存在に。
前線からの積極的なプレスで相手を追い込み、ボール奪取後は全く躊躇うことなくフルスピードで何人もの選手がスペースに飛び出し、一気にゴールを強襲するのを主、チーム戦術の主軸としている。
しかし、ただの堅守とカウンターだけのサッカーではなく、しっかりと自分たちでボールを保持しながら、ダイレクトでパス交換ができる陣形を作り出し、相手守備に的を絞らせないうちにチャンスを作り出すこともできる。
スピードを武器とする選手が、ひとりではなく、矢継ぎ早に連続で飛び出してくるのだ。その破壊力は、ドルトムントと並ぶリーグ最多得点という結果が物語っている。
やるべきサッカーがはっきりしているから、必要な選手も明確だ。前述のヴェルナーしかり、ザルツブルクから加入して一気に中心選手となったギニア代表ナビィ・ケイタしかりである。
だが、やろうとしているサッカーがどれだけ優れていても、チーム全体に浸透させるのは単純作業ではない。今シーズンから指揮を執るラルフ・ハーゼンヒュットルが、フライブルク戦後にこんな言葉を残していた。
「クラブには、明確なコンセプトがある。オートマティズムは、すでに昨シーズンから整えられていたものだ。それをさらに磨き、1部リーグでも戦い切れるだけのレベルに高めようとしてきた」
一朝一夕で出来上がったものではないのだ。長期的な計画でじっくりと自分たちのサッカーを築き、そこに変化をつけていく。
今シーズン大活躍のデンマーク代表ユズフ・ポウルセン、スウェーデン代表エミル・フォルスベルクはぽっと出のスターではなく、確固たる下積みがあったからこその躍進なのだ。
フライブルク戦終了後、350キロ離れたミュンヘンで、この日、会長に再任されたウリ・ヘーネスが、会場に詰め掛けた会員の前でこう語り出した。
「ドルトムント以外で、ようやく本気でバイエルンに立ち向かおうとする“敵”が現われた。嬉しいね」
あえて”敵”という言葉を使った。それだけの力を、ライプツィヒに感じたのだろう。
間違いなく、後半戦はどのクラブも入念にライプツィヒを分析し、対策を練ってくるはずだが、それでもなお、押し倒されないだけの期待感がある。
1997-98シーズンに、昇格チームとしてそのまま1部でも優勝したカイザースラウテルン、あるいは昨シーズンにプレミアリーグでレスターが見せた奇跡の例もある。
いずれにしても、今シーズンのブンデスリーガでは、例年にない激しい優勝争いが繰り広げられそうだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
しかし、ただの堅守とカウンターだけのサッカーではなく、しっかりと自分たちでボールを保持しながら、ダイレクトでパス交換ができる陣形を作り出し、相手守備に的を絞らせないうちにチャンスを作り出すこともできる。
スピードを武器とする選手が、ひとりではなく、矢継ぎ早に連続で飛び出してくるのだ。その破壊力は、ドルトムントと並ぶリーグ最多得点という結果が物語っている。
やるべきサッカーがはっきりしているから、必要な選手も明確だ。前述のヴェルナーしかり、ザルツブルクから加入して一気に中心選手となったギニア代表ナビィ・ケイタしかりである。
だが、やろうとしているサッカーがどれだけ優れていても、チーム全体に浸透させるのは単純作業ではない。今シーズンから指揮を執るラルフ・ハーゼンヒュットルが、フライブルク戦後にこんな言葉を残していた。
「クラブには、明確なコンセプトがある。オートマティズムは、すでに昨シーズンから整えられていたものだ。それをさらに磨き、1部リーグでも戦い切れるだけのレベルに高めようとしてきた」
一朝一夕で出来上がったものではないのだ。長期的な計画でじっくりと自分たちのサッカーを築き、そこに変化をつけていく。
今シーズン大活躍のデンマーク代表ユズフ・ポウルセン、スウェーデン代表エミル・フォルスベルクはぽっと出のスターではなく、確固たる下積みがあったからこその躍進なのだ。
フライブルク戦終了後、350キロ離れたミュンヘンで、この日、会長に再任されたウリ・ヘーネスが、会場に詰め掛けた会員の前でこう語り出した。
「ドルトムント以外で、ようやく本気でバイエルンに立ち向かおうとする“敵”が現われた。嬉しいね」
あえて”敵”という言葉を使った。それだけの力を、ライプツィヒに感じたのだろう。
間違いなく、後半戦はどのクラブも入念にライプツィヒを分析し、対策を練ってくるはずだが、それでもなお、押し倒されないだけの期待感がある。
1997-98シーズンに、昇格チームとしてそのまま1部でも優勝したカイザースラウテルン、あるいは昨シーズンにプレミアリーグでレスターが見せた奇跡の例もある。
いずれにしても、今シーズンのブンデスリーガでは、例年にない激しい優勝争いが繰り広げられそうだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。