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湘南前社長の大倉智が立ち上げた新クラブ。「いわきFC」が提唱するサッカーの本当の価値とは?

カテゴリ:Jリーグ

手嶋真彦

2016年07月21日

いつの日かJ1に昇格したとしても、ただの結果にすぎない。

メダルの数よりも大切なのは――。4年後の東京五輪にも大倉はあるべき姿を描いている。(C)Getty Images

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 勝負が手段とは、どういう意味なのか。サッカーと同じライブ性を備えた他のエンターテインメントと比較するのが、分かりやすいだろう。
 
 例えばバレエやミュージカルには筋書きがある。オーケストラのコンサートは楽譜に従って演奏する。どんな結末か、どんなエンディングか、分かっているのに、同じ演目の観劇や同じ楽曲の鑑賞を繰り返すリピーターが、少なからず存在するのはなぜなのか。
 
 ダンサーの躍動、オーケストラの調和、音楽の迫力……。そうしたパフォーマンスそのものが、観衆の心を動かしているのではないだろうか。つまり、よくできた筋書きや結末であっても、パフォーマーを輝かせる手段にすぎない。パフォーマーが己の存在価値を懸け、全身全霊の演技や演奏をしようとするのは、筋書きや結末とは無関係なのだ。
 
 こうした感動の本質は、プロサッカーもなんら変わらないのではないか。だとすれば、勝負をつけるのは手段にすぎない。感動を提供するための有効ではあってもひとつの手段だ。いわきFCが所属する福島県2部リーグの開幕戦では、大倉自身がこんな体験をしたという。
 
「歌手の加藤ミリヤさんが、国歌独唱をしてくれたんです。鳥肌が立つほど感動しましたよ。サッカーだって同じです。感動に必要な要素としては、結果はほんの少しだけなんです。

 プロサッカーが提供できる〝商品〞はいろいろありますけど、例えばボールを奪ってみんなでウワーっと攻め上がっていく時の迫力だとか、90分間できるだけ敵陣のゴールの近くでプレーしようとする前向きな姿勢だとか、観客がウォーって盛り上がるシーンをたくさん創る。それがお金を払ってもらえるだけの価値になるわけです」
 
 産声を上げてまだ1年目のいわきFCには、明確な評価軸がある。大倉が見据えているのは、プロスポーツならではの空間づくりだ。いつの日かJ1に昇格したとしても、その頂点に立ったとしても、どちらも結果にすぎない。
 
「スタジアムが常に満員になるなら、J3でもJFLでも東北1部リーグだっていいんです。2週間に1回、地元の人たちがウォーって発散できて、勝っても負けても、来て良かったねって。そういう空間を創るところに意味がある」
 
 観客が感動して、プロスポーツが産業化されるのなら、カテゴリーは関係ない。そう主張する大倉は、2020年の東京オリンピックにも、あるべき姿を描いている。
 
「メダルは結果じゃないですか。大事なのはプロセスで、オリンピックという催しでどれだけ感動を与えられるか。そのうえでメダルが取れたらいいよねって、そういう話ですよ」
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