「個が飛び抜けたような選手を統一するために言語がある」(中村)
――MLSにはリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ジョルディ・アルバ、セルヒオ・ブスケッツ(インテル・マイアミ)、オリビエ・ジルー、ウーゴ・ロリス(LAFC)、ロレンツォ・インシーニェ(トロントFC)、山根選手の同僚にも元バルセロナのリキ・プッチ、元ドルトムントのマルコ・ロイスらスター選手がおり、それ以外にも能力の高い選手が揃っています。その辺りの感覚にも慣れてきましたか?
山根 今はそれが当たり前のようになりましたが、最初は味方にもそうですし、相手チームの選手にも驚かされましたね。
中村 だから日本に帰ってくると違和感を持つんだろうね。
山根 日本人って気が利くんだと再認識もしました。
中村 それも日本の良さのひとつだと思う。
山根 特に2列目の選手に、良い選手が多いっていうのは、そういうことなんだろうなと思いました。
山根 今はそれが当たり前のようになりましたが、最初は味方にもそうですし、相手チームの選手にも驚かされましたね。
中村 だから日本に帰ってくると違和感を持つんだろうね。
山根 日本人って気が利くんだと再認識もしました。
中村 それも日本の良さのひとつだと思う。
山根 特に2列目の選手に、良い選手が多いっていうのは、そういうことなんだろうなと思いました。
――様々な能力のある選手が揃ってこそということですね。
山根 チームにひとりいればという選手が11人いてもしょうがないですし、その辺りのバランスは面白いなって感じましたね。
中村 さっきの話じゃないけど、個が飛び抜けていて、多様な背景で育ってきた選手たちの戦術的な方向性を統一するために「共通言語」があるのかなと。例えばだけど、「5レーン」や「ハーフスペース」などのキーワードを作って、そこにみんながフォーカスできるように持っていく。今で言うとペップ(グアルディオラ監督)が代表格だと思うんだけど、彼もプレーモデルを明確に提示したうえで、いる選手たちの最大値を出させる形だと思っていて。だから海外では日本人が貴重なピースとして求められる理由が分かるんじゃないかな?
山根 めちゃくちゃ分かりましたね。
中村 そういった選手たちが集まる日本代表だとまたちょっと別の話になってくるんだろうけど。
山根 今の代表では薫や純也くんなどひとりでいける選手が何人もいる。だからこそ色々な戦術の選択肢がありより強さを見せているのかなと思います。
――そのあたりが全部つながっている感じがしますね。
中村 もちろん、これはすべてつながっていますから。でも、その感覚を海外でプレーするミキの口から聞くのが大事なんですよ。そして俺の目から見たら、ミキは日本人のなかでは、どちらかというと奔放型なのかなと(苦笑)。
山根 そうですね。
中村 だから海外向きかなとも思っていた。
山根 でも、今のチームでは、僕が前に行くより、さらにクオリティを持った選手に前で働いてもらうために、僕の役割は、どんどん変化しています。監督も日本人らしく色々な役割ができる点や、相手に合わせてポジションを変えられる点など、試合ごとによって様々な役割を求めてくるので、難しい部分もあって。
中村 言葉はどうしているの? 通訳は付けている?
山根 付けていないので、最初はミーティングで話していることの5パーセントも分かってなかったです(苦笑)。
中村 でもだいぶ耳は慣れてきた?
山根 今は結構聞けるようになってきました。自分に関係するところを、(吉田)麻也くんも補足してくれますが、最近はその補足も自分が理解していることと同じ形になってきました。
――最初はかなり苦労されたとも話していましたが。
山根 それこそ中学1年生の4月くらいの英語力でアメリカに行きましたからね。
中村 でも、10か月ほどで、それくらいの英語力を身に付けるのは凄いよね。それに最初は上手く聞き取れなかったのに起用され続け、結局1年ほぼフルで出ているわけだから。
山根 最初は味方と上手くコミュニケーションを取れないので、ストレスは溜まりましたよ。そういう時でも自分がどういう選手なのか、どうプレーしたいのか、走っているからここにパスを出してくれなど、伝えるようにしました。
中村 ミキはフロンターレの時も積極的にコミュニケーションを取るタイプだったもんね。チームの共通語は英語?
山根 全部英語です。でもスペイン語が飛びかったりしていますね。
――山根選手は今夏に加わった、元ドイツ代表MFマルコ・ロイスら誰とでも会話をしているとか。
山根 普通にコミュニケーション取ったり、ピッチで意思表示をするくらいですけどね。まだ長い話をするのは難しいので。
(第3回に続く)
■プロフィール
中村憲剛 なかむら・けんご/1980年10月31日、東京都生まれ。川崎一筋、バンディエラとしてのキャリアを築き、2020年シーズン限りで現役を引退。その後はフロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー(FRO)、Jリーグ特任理事など様々な角度からサッカー界に関わり、指導現場で多くを学んでいる。
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178㌢・72㌔。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―湘南―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
山根 チームにひとりいればという選手が11人いてもしょうがないですし、その辺りのバランスは面白いなって感じましたね。
中村 さっきの話じゃないけど、個が飛び抜けていて、多様な背景で育ってきた選手たちの戦術的な方向性を統一するために「共通言語」があるのかなと。例えばだけど、「5レーン」や「ハーフスペース」などのキーワードを作って、そこにみんながフォーカスできるように持っていく。今で言うとペップ(グアルディオラ監督)が代表格だと思うんだけど、彼もプレーモデルを明確に提示したうえで、いる選手たちの最大値を出させる形だと思っていて。だから海外では日本人が貴重なピースとして求められる理由が分かるんじゃないかな?
山根 めちゃくちゃ分かりましたね。
中村 そういった選手たちが集まる日本代表だとまたちょっと別の話になってくるんだろうけど。
山根 今の代表では薫や純也くんなどひとりでいける選手が何人もいる。だからこそ色々な戦術の選択肢がありより強さを見せているのかなと思います。
――そのあたりが全部つながっている感じがしますね。
中村 もちろん、これはすべてつながっていますから。でも、その感覚を海外でプレーするミキの口から聞くのが大事なんですよ。そして俺の目から見たら、ミキは日本人のなかでは、どちらかというと奔放型なのかなと(苦笑)。
山根 そうですね。
中村 だから海外向きかなとも思っていた。
山根 でも、今のチームでは、僕が前に行くより、さらにクオリティを持った選手に前で働いてもらうために、僕の役割は、どんどん変化しています。監督も日本人らしく色々な役割ができる点や、相手に合わせてポジションを変えられる点など、試合ごとによって様々な役割を求めてくるので、難しい部分もあって。
中村 言葉はどうしているの? 通訳は付けている?
山根 付けていないので、最初はミーティングで話していることの5パーセントも分かってなかったです(苦笑)。
中村 でもだいぶ耳は慣れてきた?
山根 今は結構聞けるようになってきました。自分に関係するところを、(吉田)麻也くんも補足してくれますが、最近はその補足も自分が理解していることと同じ形になってきました。
――最初はかなり苦労されたとも話していましたが。
山根 それこそ中学1年生の4月くらいの英語力でアメリカに行きましたからね。
中村 でも、10か月ほどで、それくらいの英語力を身に付けるのは凄いよね。それに最初は上手く聞き取れなかったのに起用され続け、結局1年ほぼフルで出ているわけだから。
山根 最初は味方と上手くコミュニケーションを取れないので、ストレスは溜まりましたよ。そういう時でも自分がどういう選手なのか、どうプレーしたいのか、走っているからここにパスを出してくれなど、伝えるようにしました。
中村 ミキはフロンターレの時も積極的にコミュニケーションを取るタイプだったもんね。チームの共通語は英語?
山根 全部英語です。でもスペイン語が飛びかったりしていますね。
――山根選手は今夏に加わった、元ドイツ代表MFマルコ・ロイスら誰とでも会話をしているとか。
山根 普通にコミュニケーション取ったり、ピッチで意思表示をするくらいですけどね。まだ長い話をするのは難しいので。
(第3回に続く)
■プロフィール
中村憲剛 なかむら・けんご/1980年10月31日、東京都生まれ。川崎一筋、バンディエラとしてのキャリアを築き、2020年シーズン限りで現役を引退。その後はフロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー(FRO)、Jリーグ特任理事など様々な角度からサッカー界に関わり、指導現場で多くを学んでいる。
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178㌢・72㌔。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―湘南―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)