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中村憲剛×山根視来スペシャル対談。日本とアメリカの戦術や選手の違いは?「Jリーグに来る外国人よりも...」

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年12月12日

「こっちはまず“個”」(山根)

移動の時間や時差など日本とは異なるアメリカの環境。様々な発見もあるという。

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 川崎時代にチームメイトだったふたり。川崎のレジェンドである中村憲剛は、2020年限りで現役を引退し、指導者の道へ。そして山根は、今季から挑戦の場をアメリカへ移し、ロサンゼルス・ギャラクシーで活躍する。

 戦う場を変えても輝く先輩・後輩コンビのスペシャル対談の第2弾だ(全4回/2回)。

――◆――◆――

中村 逆にホームゲームの時は前泊とかあるの?
 
山根 ないですね。うちのチームはホームゲームの場合、キックオフの1時間半前集合とかです。
 
中村 え? 1時間半前?
 
山根 はい、そこはめちゃくちゃ楽です。練習場とスタジアムが併設されているので、ロッカーも一緒なんです。例えば19時半キックオフの場合、18時までに車でスタジアムに行って、各自で身体を動かし、30分後ぐらいにウォーミングアップを開始するという感じです。
 
中村 試合前のミーティングは?
 
山根 ミーティングはウォーミングアップに出る前に軽くですかね。セットプレーの確認と監督の指示を10分ずつぐらいです。
 
中村 なるほど。
 
山根 詳細なミーティングは前日や前々日に済ませているので、確かに当日のミーティングは少なくても良いのかなと最近は思っていますね。
 
中村 フロンターレはナイターゲームの場合、試合当日は15時半くらいに集まり、軽食を取って、改めて確認のミーティングをしてスタジアムに向かっていたけど、チームによってやり方は違うということだね。
 
山根 今はすごくコンパクトですね。相手のメンバーを見て、こういう形で来そうだから、その時はこういうプランでいこうみたいな、想定と違った際の確認ですね。フロンターレでのミーティングでは、ケンゴさんは、自分で何試合か前の映像を見て、そのイメージをミーティングで確認していた印象でした。
 
中村 そうそう。それでオニさん(鬼木達監督)が話してくれることで、改めてなぞっているイメージだったかな。相手と自分たちのやりたいことは大体頭に入れていたから。それにオニさんは細部にこだわる人であったからね。
 
山根 確かにそうですね。
 
中村 鬼さんと前に話した時に、「球際、切り替え、ハードワーク」を試合当日のミーティングで書かなかった時があって、その試合が上手くいかなかったので、そこからは一生書こうと思ったとも話していたね。やっぱり「できるだろう」「分かっているだろう」という考え方は駄目だと。
 
山根 オニさんそういう方ですもんね。練習も納得いくまでやりますからね。だから何が正解かは分からないです。ギャラクシーも今年、結果を残せていなかったら、違う方法に変わっていた可能性はありますから。
 
中村 そっちではミーティングが短くても、すぐ理解し、質の高いプレーを示せる選手が多いっていう部分もあるのかな?
 
山根 どうですかね、それとはまた違う気はしますね。これは僕のイメージですが、ミーティングの内容は必要最小限のことしか頭に入れていない選手もいる気はします。
 
中村 そもそも? でもそれでチームは成り立っているんだね。
 
山根 ここは僕が今回、言いたかったことのひとつにもつながるのですが、こっちはまず“個”なんですよ。その個を相手との噛み合わせの中でどう活かすかっていう部分で戦術が組まれてることが多いのかなと。
 
中村 なるほど。
 
山根 でも、日本の戦術というのも、日本人の勤勉さのうえに成り立っているのかなともこっちに来て感じました。勤勉だからこそ、みんながしっかり戻るし、コンパクトにしようって言われたら実践する。うーん、表現が難しいのですが...。
 
中村 ミキ、そこは頑張れ(笑)!! それを言語化してもらうのが今回のテーマだから‼
  
山根 何て言えば良いんですかね...これは良し悪しではなく、みんなで助け合うっていうことに寄っているのが日本なのかなと。それが子どもの頃からの教えだと思うんです。だから大きい相手にはふたりで行こうとか、速い相手にはまずひとりがチャレンジして、ひとりがカバーするとか、今もそういう考えが基本だと思うんです。それは決して悪いことではありません。
 
 ただ、こっちではひとりで抜ける選手、ひとりでボールを取り切れる選手が多く、そこがベースにあるんですね。だから名前も知らないような選手でもそういうプレーができる。個人に頼るじゃないけど、そこが大事にされているリーグで、ひとりをはがせば大きなチャンスになるシーンが多く、スタジアムが沸くイメージですね。
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中村 なるほどね。1人が抜かれたらどう対応するか、どうカバーをするとか、抜かれることを予測した考え方や概念がないのかな?
 
山根 あるにはあるんですけど、それよりもやっぱり個人。それぞれ与えられた役割があってその中でそこはお前の仕事だから頑張ってくれっていう感覚ですかね。
 
中村 これまでの文化と言うか、日本サッカーは強力な個に挑戦する立場から始まっているところがあるから、さっきミキが言ったように、ひとりじゃ勝てないなら、じゃあふたりで止めようみたいな考えはベースとしてあるよね。
 
山根 でも、日本人が器用って言われるのがより分かった部分もあるんです。それは気が利くっていうところでもあるんですが、技術力があり、誰かのカバーをする能力に長けていると言いますか。こっちの選手は、表現があれですが、自分の成功のことしか考えていないような選手もいる。でも、それがチームのプラスになったりするわけで。
 
中村 考え方が根本的に違うと。
 
山根 ここに食いつくのかとか、後ろにいるはずの選手が出ていっちゃうから、スペースがめちゃくちゃ空いているみたいなシーンはありますね。
 
中村 それは「個人の勝負」が基本的な考え方だからなのかな。
 
山根 ただ、僕らのチームの監督(グレッグ・ヴァニー監督)は戦術的なサッカーをする方で、「相手がこのシステムで来るから、うちはこのシステムでいきたい。だからから、こういうふうにボールを動かしていこう」といった練習が多く、それが今シーズンは上手くいっているのかなと思います。
 
中村 この間、S級ラインセス(Proライセンス)の海外研修でカナダのパシフィックFCというクラブに受け入れてもらったんだけど、本当に多国籍のチームで。そこはアメリカも恐らく同じかなと。そうやって文化や考え方、育った環境が異なった選手たちが多様に集まっているからこそ、大枠みたいなものは作らないと、難しいのかなとも感じたね。
 
山根 そうですね、表現が難しいですが、Jリーグに来る外国人選手よりも個性派が多い印象です。ただ、うちの前線の選手もそうですが、結果を残している。とんでもないクオリティを持っている選手も多いですね。
 
中村 俺は海外でプレーしたことがないけど、そういう選手たちに監督が明確なプレーモデルを提示し、大きな枠組みを作った上で個々の最大値を出すのが向こうのやり方というイメージなんだけど。
 
山根 そうですね。ただ(同僚の吉田)麻也くんの話を聞くと、プレミアだったり、5大リーグに行く選手も、最初は守備などをやらない選手もいるみたいです。でも、それじゃ試合に使ってもらえないから、良い部分は残しつつ、少しずつ変化していくと。すべてを許されるのは、メッシ(インテル・マイアミ)くらいなんじゃないですかね。

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