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退任までの裏側。川崎で8年指揮を執った鬼木達監督の去就への想いと横断幕への言葉にならない感謝【特別インタビュー】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年12月10日

ジレンマだった選手の海外移籍

常に選手たちと会話をする鬼木監督。深い信頼関係を築いていた。(C)SOCCER DIGEST

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 栄枯盛衰。世の中の常である。栄華を極めた川崎も、その後、難しい時期を迎える要因のひとつになったのが、日本クラブが抱えるジレンマであった。

 選手を育て、活躍を果たせば、海外クラブに引き抜かれる。当時のチームから守田英正、三笘薫、田中碧、旗手怜央、谷口彰悟、山根視来が海を渡る決断をしたことからも分かるように、主力の穴を埋めるのはなかなか難しい作業だった。

 さらに同じ時期にはレジェンドの中村憲剛が引退し、登里享平ら川崎を支え続けた選手たちも新たな挑戦を選び、チームの強化を長年担った庄子春男もチームを離れるなど、ピッチ内外で大きな世代交代が図られた。

「誰かが抜ければ誰かが出てくる。それが楽しみ」

 鬼木監督は選手の海外移籍が決まるたびに、戦力的には痛かったものの、教え子の力が認められたのだと喜び、ポジティブな言葉を残し続けてきた。コーチングスタッフを大きく入れ替えて臨んだ今季もリーグ開幕時に「チームに大きな可能性を感じるんです」と目を輝かせていたのも印象深い。
 ただ、この2年、やはり成績は苦しいものであった。特に今季、一番の誤算は怪我人の続出であった。

「23年も8位。22年からちょっと難しい時期にかかっているなという感覚もありました。それでも22年は2位まで来られた。だから23年は継続しながら、もうひとつ上にいきたいという想いがありました。でも結果が出ないと選手の自信は付いてこない。マンネリではないですが、刺激的なことをしないと難しいのかなという想いはちょっとずつ出始めていました。

 今季のスタッフの入れ替えなどは自ら加えようとは思っていなかったですが、タイミング的に何人かが新しい挑戦に旅立っていくことになった。僕はそういう流れは、いろいろ一気に変わる時期だとポジティブに捉えるんですよ。だから今季も順調にいけば上に行けるんじゃないかと。(今季懸けていたACLでのシーズン最初の)山東戦の負け方はかなりショックでしたが、リーグ戦は試合数が多いので、新しい選手も時間とともにフィットしていけるんじゃないかと考えていました。

 でも一番はCBに怪我人が続いてしまったのが痛かったですね(ジェジエウ、車屋紳太郎が長期離脱し、丸山祐市らも負傷期間があり、大南拓磨は夏に海外移籍など)。あとは経験のある両SB(登里、山根)が移籍したというのもありました。当たり前ですが攻撃的にサッカーをやるなら、後ろの安定がないとダメなんだなと。頭では分かっていましたが、そこが難しかったですね。

 細かい話をすれば、ゴールキックを蹴られた時にCBが確実に弾き返せると、それで一回相手の攻撃を止められる。でも相手のところに転がったり、すらされたりすると、前にいきたいところが、背走することになる。また、攻め続けていても、リスク管理で2対1で守っていたのに、そこでやられたり、ターンされたり、サポートされて攻められたり。2対1、もしくは同数でもピタッと止めて2次攻撃につなげられるかどうかの差はやっぱり大きいですよ。まあ、(谷口)彰悟、ジェジ、(山根)視来、ノボリ(登里)の4人から一気に変わったという面があったので。

 一方でCBもポジティブに考えたら(佐々木)旭らが出てきた。特に旭(当初は左SB)は、こういうタイプがやるとこれだけ落ち着いてボールを動かせるんだ、CBだけどドリブルで最後までいけるんだという発見がありました」

 苦戦が続くなかで、FW山田新、CB高井幸大ら若い芽が確実に育ってきていた事実もあった。
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