【岩本輝雄のオタクも納得!】“生きたキック”を蹴れる中村俊輔こそ真のプロだ

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2016年05月31日

練習では俊輔よりキックが上手い選手がいるかもしれないけど…。

ここぞという時に、持てる技術のすべてを表現できるのが一流。中村俊輔は間違いなくそのうちのひとりで、“生きたキック”を蹴れる選手だ。(C)SOCCER DIGEST

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 ただし、「武器」があるだけでは意味がない。それを実際の試合の中で、しかもここぞという時に使えるかどうか。
 
 例えばクロスにしても、90分間のうちに何十回も上げられるわけではない。場合によっては、1本か2本かもしれない。でも、その1本で、確実に狙ったところに蹴ることができるか。
 
 チャンスの場面で、持てる技術すべてを発揮できるのが一流の選手だと思う。そのために、練習から何度も何度もクロスを上げたり、FKやCKを蹴ったり、ヘッドの練習をする。それでも、試合で上手くいくかは分からないけど、その一撃で試合を決められれば、チームに勝点3をもたらせるし、サポーターを喜ばせることができるし、選手は自らの価値を高めることができる。それがプロというものだ。
 
 練習だけで考えれば、俊輔より正確なボールを蹴れる選手は日本にいるかもしれない。でも、現にそういう選手はいまだJリーグに出てこない。ということは、“生きたキック”を蹴れていないということで、それは本当の意味で「武器」とは言えないと思うね。
 
 そうした俊輔や中澤、栗原の熟練された「武器」の前に、柏は負けてしまったと言えるかもしれない。もちろん、柏の選手たちの技術を悪く言うつもりはない。彼らのボールの動かし方やゴールへの多彩なアプローチは素晴らしかった。それでも、戦術や戦略を越えた横浜のベテランたちの「武器」、言い方を変えれば彼らの「個の力」が、あの試合では際立っていたということだと思う。
 
 それよりも気になったのは、柏がCKの時にゾーンで守っていたこと。個人的には、キッカーが優れていればいるほど、ゾーンで守るのは危険だと考えている。立っているところに、ピンポイントのボールが来て、走り込んでくる選手がいるわけだから、マンツーマンのほうが効果的ではないかと思っている。
 
 また、ペナルティエリアぎりぎりのところに選手をひとり立たせるのも、どうなのだろうか。それを邪魔に思うキッカーもいるとは思う。でも自分からすれば、いてもいなくても関係なくて、むしろラッキーというか、「あの壁を超えるように、その向こうに落とせばいいか」と、キックをイメージしやすくなる。
 
 中で守っている側からしても、前に立たせている選手がブラインドになって、向かってくるボールを見失う可能性があるのではないか。ゾーンで守るのもチームのやり方だから、自分がどうこういう問題ではないのは百も承知しているけど、今度、下平監督に会った時に、詳しく聞いてみようかと思っている。

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