燃えるショドロンで、緑の民とともに欧州の戦いを楽しもう!

近年の獲得タイトルは12-13シーズンのリーグカップのみという現在のサンテティエンヌだが、スタンドの盛り上がりは黄金時代と何ら変わりはない。 (C) REUTERS/SUN

かつて黄金時代を謳歌したサンテティエンヌ。国内外のスター選手が多く在籍した。写真は80-81シーズンのチームで、文中にも登場するレップは上段左から2人目。79年から83年まで在籍し、オランダ代表としては74、78年ワールドカップにレギュラーとして出場し、世界に旋風を巻き起こすとともに、2大会連続での決勝戦進出に貢献した。 (C) SOCCER DIGEST
そんな労働者たちが集うスタジアムが、有名な「スタッド・ジョフロワ・ギシャール」。土地取得などで援助したカジノ・オーナーの名を冠していますが、実は労働者ら自身が薄い財布の底をはたいて最初の素朴なスタジアムを建設、やがて徐々に大きくなったのでした。
数々の伝説を生んだこのスタジアムは、「ショドロン」(煮えたぎる大釜または溶鉱炉のイメージ)の異名をとる“緑の聖地”です。
大釜のなかで真っ赤に燃える鉄を思わせるようなスタジアムと観衆――。その光景は世界的にも有名になり、ここにやって来る外国チームは「緑地獄」と言って恐れたものでした。
今でも宿敵リヨンと激突するローヌダービーでは、「緑の民」が熱狂することで知られています。
最も語り草になっているのは、75-76シーズンのチャンピオンズ・カップ(現リーグ)。恐るべき勢いでファイナルまで到達した「レ・ヴェール」は、グラスゴーでドイツのバイエルンと激突しました。
ポト・カレ(四角いポスト)に嫌われて惜しくも敗れました(0-1)が、この快進撃を祝して「緑の民」はパリのシャンゼリゼ大通りに繰り出し、“緑のシャンゼリゼ”を創出したのでした。現在、ゴールポストが丸い(円柱)のは、この試合のおかげなのです。
同地方出身のグループ「Mickey 3D(ミケ・トロワ・デ)」は、当時の「ショドロン」の雰囲気を大ヒット曲「ジョニー・レップ」(※フランス語読み)で再現しました。79年10月3日のUEFAカップ戦でハットトリックを決めたレップと「レ・ヴェール」、「緑の民」、「ショドロン」に捧げた一曲です。
そのオフィシャル・ビデオクリップは、今も人気。貴重な映像と音声がはめ込まれているからです。セピア色の新聞、燃える観衆、レップの写真……。
さらには、労働者階級を代表していた強大な共産党のジョルジュ・マルシェ書記長(故人)が興奮する姿などが再現され、ピッチ上には選手たち。走馬灯のように流れる映像に合わせて、実況アナが叫びます。
――ジャック・サンティニ、ジャック・サンティニからミシェル・プラティニへ、ミシェル・プラティニがジョニー・レップのために奥へパス! ジョニー・レップ、単独でGKに立ち向かいます! そしてジョニー・レップ、ジョニー・レップ、3ゴール目を決めました~っ!! ジョニー・レップの3ゴ~ル!!――
この曲は、松井選手がいた頃に大ヒットしたもので、フランス人はこれを聴くたび郷愁に襲われ、鳥肌を立てていました。
ちなみに私も、プレスルームから「ショドロン」に足を踏み入れた途端、観衆が大音響で合唱するこの曲が降りかかってきて、レジェンドたちの魂が乗り移ったかのように思わずゾクッとしたのを覚えています。
このビデオクリップは、ユーチューブで「Johnny Rep」と検索すれば観られますので、是非タイムスリップしてみてください。
スタンドの四隅が空いた“イングランド風”で有名だったこのスタジアム。EUROに向けた大改装で独特の古風さはやや失われましたが、代わりに美しいデザインのスタジアムに変身しました。
収容人員も4万2000人にアップ。もちろん「緑の民」も健在です! 熱い彼らと一緒に、スロバキア対イングランド、ポルトガル対アイスランドなどを楽しんでください。
【ジョフロワ・ギシャールでの開催試合】
6月14日:ポルトガル vs アイスランド
6月17日:チェコ vs クロアチア
6月20日:スロバキア vs イングランド
6月25日:グループA2位 vs グループC2位
数々の伝説を生んだこのスタジアムは、「ショドロン」(煮えたぎる大釜または溶鉱炉のイメージ)の異名をとる“緑の聖地”です。
大釜のなかで真っ赤に燃える鉄を思わせるようなスタジアムと観衆――。その光景は世界的にも有名になり、ここにやって来る外国チームは「緑地獄」と言って恐れたものでした。
今でも宿敵リヨンと激突するローヌダービーでは、「緑の民」が熱狂することで知られています。
最も語り草になっているのは、75-76シーズンのチャンピオンズ・カップ(現リーグ)。恐るべき勢いでファイナルまで到達した「レ・ヴェール」は、グラスゴーでドイツのバイエルンと激突しました。
ポト・カレ(四角いポスト)に嫌われて惜しくも敗れました(0-1)が、この快進撃を祝して「緑の民」はパリのシャンゼリゼ大通りに繰り出し、“緑のシャンゼリゼ”を創出したのでした。現在、ゴールポストが丸い(円柱)のは、この試合のおかげなのです。
同地方出身のグループ「Mickey 3D(ミケ・トロワ・デ)」は、当時の「ショドロン」の雰囲気を大ヒット曲「ジョニー・レップ」(※フランス語読み)で再現しました。79年10月3日のUEFAカップ戦でハットトリックを決めたレップと「レ・ヴェール」、「緑の民」、「ショドロン」に捧げた一曲です。
そのオフィシャル・ビデオクリップは、今も人気。貴重な映像と音声がはめ込まれているからです。セピア色の新聞、燃える観衆、レップの写真……。
さらには、労働者階級を代表していた強大な共産党のジョルジュ・マルシェ書記長(故人)が興奮する姿などが再現され、ピッチ上には選手たち。走馬灯のように流れる映像に合わせて、実況アナが叫びます。
――ジャック・サンティニ、ジャック・サンティニからミシェル・プラティニへ、ミシェル・プラティニがジョニー・レップのために奥へパス! ジョニー・レップ、単独でGKに立ち向かいます! そしてジョニー・レップ、ジョニー・レップ、3ゴール目を決めました~っ!! ジョニー・レップの3ゴ~ル!!――
この曲は、松井選手がいた頃に大ヒットしたもので、フランス人はこれを聴くたび郷愁に襲われ、鳥肌を立てていました。
ちなみに私も、プレスルームから「ショドロン」に足を踏み入れた途端、観衆が大音響で合唱するこの曲が降りかかってきて、レジェンドたちの魂が乗り移ったかのように思わずゾクッとしたのを覚えています。
このビデオクリップは、ユーチューブで「Johnny Rep」と検索すれば観られますので、是非タイムスリップしてみてください。
スタンドの四隅が空いた“イングランド風”で有名だったこのスタジアム。EUROに向けた大改装で独特の古風さはやや失われましたが、代わりに美しいデザインのスタジアムに変身しました。
収容人員も4万2000人にアップ。もちろん「緑の民」も健在です! 熱い彼らと一緒に、スロバキア対イングランド、ポルトガル対アイスランドなどを楽しんでください。
【ジョフロワ・ギシャールでの開催試合】
6月14日:ポルトガル vs アイスランド
6月17日:チェコ vs クロアチア
6月20日:スロバキア vs イングランド
6月25日:グループA2位 vs グループC2位