子供たちが売却を薦める一方で、父シルビオだけは……。
恒大地産グループは、2010年に広州足球倶楽部(現・広州恒大)を買収すると、巨額の資金を一気に投下してチームを強化して1年でトップリーグに昇格。以降は国内リーグはもちろん、アジアのメジャータイトルを独占し続けている。
ヨーロッパの場合は、UEFAのファイナンシャルフェアプレー規定(基本的に収入を上回る支出を禁じ、オーナーによる赤字の穴埋めも認めないというルール)があるため、そのような度を超えた投資は不可能だ。とはいえ、パリSGやマンチェスター・Cを買収したカタールやアブダビの中東資本がそうしたように、ルールが許す枠内で最大限の資金を投じてくる可能性もないとは言えない。
そうなれば、ここ数年は補強に十分な予算をかけられず、他クラブとの契約を満了してフリーになった選手を獲得する(本田圭佑もそのひとりだ)など、苦しいやりくりに終始してきたミランの強化戦略も、大きく変化することが予想される。
もちろん、現時点では本当に恒大地産グループがミラン買収に乗り出しているのか定かではないし、1年前にはタイ資本と同じく独占交渉をしながら結局は破談になった経緯があるだけに、すべては憶測の域を出ない。しかし、もし買収が成立すれば、ミランはここ数年の低迷を脱する資金的裏付けを手に入れると同時に、クラブの運営体制そのものも大きく刷新されるのは間違いない。
一部では、ミランのレジェンドであるにもかかわらず、現在まで経営の実権を握ってきたアドリアーノ・ガッリアーニ副会長との不仲からクラブ幹部に就けていないパオロ・マルディーニが強化担当者になるのではないか、同じくOBのデメトリオ・アルベルティ―ニが運営幹部になるではないか、という観測も出ている。
そもそも、つい5~6年前まではチャンピオンズ・リーグで優勝を争う欧州指折りの強豪だったミランが、なぜ中国資本に身売りしなければならないところまで追い込まれてしまったのか――。
これには2つの側面がある。ひとつは、ベルルスコーニ家の衰退だ。ゼロからスタートしてマスコミ産業を中心とする一大企業集団フィニンベスト・グループを築き上げ、政界にも進出してイタリア首相にまで上り詰めたベルルスコーニも今年で80歳。政界での影響力はすでに大きく低下し、放送・出版をはじめとする本業のビジネスも国際的な競争にさらされて一時と比べて大きく収益力を落とすなど、かつてのような強大な権力、資金力を失いつつある。
ベルルスコーニにとってミランは、自らの手腕をアピールして政治家としての大衆的な人気を保つためのイメージリーダー的な役割を果たしてきたが、その必要性は今や小さくなった。そして、フィニンベスト・グループの後継者である長女マリーナと長男ピエルシルビオは、いずれもミランに興味を持っておらず、毎年数千万ユーロの無駄金を食うだけの“お荷物”だとしか思っていない。
また、ミランを父から継承するという野心を持ち、副会長として経営に携わってきた次女バルバラも、自身主導で進めた新スタジアム構想が土壇場で他でもない父に潰されたことなどもあり、現在では売却に同意している。いまや子供たちが売却を薦める一方、父シルビオだけが「売る」と「売らない」の狭間で揺れ動いているという状況だと伝えられる。
ヨーロッパの場合は、UEFAのファイナンシャルフェアプレー規定(基本的に収入を上回る支出を禁じ、オーナーによる赤字の穴埋めも認めないというルール)があるため、そのような度を超えた投資は不可能だ。とはいえ、パリSGやマンチェスター・Cを買収したカタールやアブダビの中東資本がそうしたように、ルールが許す枠内で最大限の資金を投じてくる可能性もないとは言えない。
そうなれば、ここ数年は補強に十分な予算をかけられず、他クラブとの契約を満了してフリーになった選手を獲得する(本田圭佑もそのひとりだ)など、苦しいやりくりに終始してきたミランの強化戦略も、大きく変化することが予想される。
もちろん、現時点では本当に恒大地産グループがミラン買収に乗り出しているのか定かではないし、1年前にはタイ資本と同じく独占交渉をしながら結局は破談になった経緯があるだけに、すべては憶測の域を出ない。しかし、もし買収が成立すれば、ミランはここ数年の低迷を脱する資金的裏付けを手に入れると同時に、クラブの運営体制そのものも大きく刷新されるのは間違いない。
一部では、ミランのレジェンドであるにもかかわらず、現在まで経営の実権を握ってきたアドリアーノ・ガッリアーニ副会長との不仲からクラブ幹部に就けていないパオロ・マルディーニが強化担当者になるのではないか、同じくOBのデメトリオ・アルベルティ―ニが運営幹部になるではないか、という観測も出ている。
そもそも、つい5~6年前まではチャンピオンズ・リーグで優勝を争う欧州指折りの強豪だったミランが、なぜ中国資本に身売りしなければならないところまで追い込まれてしまったのか――。
これには2つの側面がある。ひとつは、ベルルスコーニ家の衰退だ。ゼロからスタートしてマスコミ産業を中心とする一大企業集団フィニンベスト・グループを築き上げ、政界にも進出してイタリア首相にまで上り詰めたベルルスコーニも今年で80歳。政界での影響力はすでに大きく低下し、放送・出版をはじめとする本業のビジネスも国際的な競争にさらされて一時と比べて大きく収益力を落とすなど、かつてのような強大な権力、資金力を失いつつある。
ベルルスコーニにとってミランは、自らの手腕をアピールして政治家としての大衆的な人気を保つためのイメージリーダー的な役割を果たしてきたが、その必要性は今や小さくなった。そして、フィニンベスト・グループの後継者である長女マリーナと長男ピエルシルビオは、いずれもミランに興味を持っておらず、毎年数千万ユーロの無駄金を食うだけの“お荷物”だとしか思っていない。
また、ミランを父から継承するという野心を持ち、副会長として経営に携わってきた次女バルバラも、自身主導で進めた新スタジアム構想が土壇場で他でもない父に潰されたことなどもあり、現在では売却に同意している。いまや子供たちが売却を薦める一方、父シルビオだけが「売る」と「売らない」の狭間で揺れ動いているという状況だと伝えられる。