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町田対筑波大で怪我人続出...“フェアプレー”をどう捉えていくべきか。日本サッカーの命運を左右する重要なテーマだ

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2024年06月19日

日本は過渡期にさしかかっているのかもしれない

 フェアプレーの捉え方は、各国ごとに文化と密接に関連し、大きく異なる。例えば正々堂々が根幹を成す英国圏では、相手やレフェリーを騙して利益を得る行為は完全否定される。だが対照的にラテン系の国々では、駆け引きに長けた狡い行為こそ賢さの証と解釈される傾向が強い。

 日本は明らかに前者だと見る向きが多いかもしれない。実際、銅メダルを獲得した1968年のメキシコ五輪からフェアプレー賞の常連だったし、Jリーグが開幕すると多くの助っ人選手たちが「日本に足りないのはマリーシア(狡猾さ)」だと指摘した。

 しかしそんな日本も、敢えて1点差負けを享受するために退屈なボール回しを続けたロシア・ワールドカップ(2018年)のポーランド戦に限らず、何度か全力で勝利を目ざさない戦略的な試合を行なっている。大局的にもどちらに進むのか、過渡期にさしかかっているのかもしれない。

 一方でどんなスポーツも安全が担保されなければ普及は進まない。米国でアメリカンフットボールや野球は観る競技としては人気だが、中流以上の家庭では危険を理由に子供には勧めないという話を聞いたことがある。
 
 サッカーも多くの犠牲を教訓に、選手たちの安全保持の方向へとルールが改正されてきた。かつて故障をしても一切交代が出来なかった競技が今では5人交代制に変わり、ディエゴ・マラドーナやマルコ・ファンバステンら、多くのファンを魅了するスターが傷ついた悔恨から蛮行への罰則が強化され、最近はVARの導入により肝要なシーンで姑息な反則者が利益を得るのは難しくなった。

 地球規模で見た場合、サッカーは観る競技としても実践する競技としても最も普及浸透している。それだけに日本で人気が低下すれば、世界に伍して戦うのは難しくなる。そういう意味でも、とりわけ育成段階でフェアプレーをどう捉え導いていくのかは、日本サッカーの未来の命運を左右する重要なテーマだ。

 黒田監督も小井戸監督もJFAのライセンス取得者である。現場で指導方針等を巡り『卒業生』同士の見解が分かれているなら、師には誤りを正し、理想の道標を示す義務がある。

取材・文●加部究(スポーツライター)

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