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【ブンデス現地コラム】シュミット監督による“異色の組織作り”がマインツ好調の要因。チーム全員で雪山登山も!?

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年04月08日

標高2700メートル、マイナス10度という過酷な環境下で…。

後半戦からCFに定着したコルドバ。新戦力が適応するまで待つ辛抱強さも、現在の好調を支える要因のひとつだ。(C)Getty Images

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 カウンター頼みだった攻撃も改善され、遅攻からでもチャンスを作れるようになった。鍵を握るのは、2月に負傷離脱した武藤に代わってCFを務めるジョン・コルドバだ。昨夏に加入したコロンビア人FWはブンデスリーガの水に馴染むのに時間を要したものの、ここにきてようやく本領を発揮し始めている。

 強靭なフィジカルを駆使したポストワークだけでなく、鋭い裏への抜け出しで攻撃に変化を加える。そんなコルドバの使い方がチーム全体に浸透したことで、トップ下のユヌス・マッリ、両ウイングのハイロ・サンペリオ、クリスティアン・クレメンス、パブロ・デ・ブラシスといった2列目のアタッカーが躊躇なくゴール前に飛び出せるようにもなった。

 新戦力を即起用するのではなく、「フィットするまで待つ」という辛抱強さを持ち合わせているのも、マインツが成功している要因のひとつだろう。後半戦からレギュラーに定着したコルドバやビュスマンは適応するまでの時間を与えられたからこそ今の活躍があるわけで、加入1年目の昨シーズンは精彩を欠いたハイロ、クレメンス、デ・ブラシスも継続して起用していくうちに欠かせない戦力に成長した。

 選手にじっくりと自身の哲学を理解させるのがシュミット流であり、組織のなかで自分の持ち味を発揮できるように導いた。こうした方針は一貫しており、それが現在の好成績に結びついているのだ。

 ピッチ外での取り組みも興味深い。ウインターブレイク中には「チームがひとつになれるし、選手たちもたまにはシリアスな生活を忘れるべき」というシュミット監督の提案で、雪山登山を敢行。多くのクラブが5つ星の高級ホテルで優雅に過ごすところ、マインツの選手とスタッフは標高2700メートル、マイナス10度という過酷な環境下で寝泊まりをした。

 カーニバルの時期には、チーム全員でパレードに参加。こうした地道な活動の効果もあり、ブンデスリーガ随一といえる結束力を手にした。

 リーグ戦はあと6試合。マインツのラストスパートはここからだろう。武藤の再離脱以外はこれといった不安要素は見当たらないだけに、この調子を維持して最後まで走り続けることができるはずだ。

文:中野吉之伴

【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
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