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【コラム】左足1本で日本人を翻弄――。クライフがアマ時代の日本に蒔いた「憧れ」という種

カテゴリ:特集

加部 究

2016年03月29日

筆者がクライフへのインタビューを避けた理由とは?

日本には、1974年の西ドイツ・ワールドカップ決勝戦の中継で初めてその姿が映像として届けられた。(C) Getty Images

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 実はクライフの書籍を出さないかという話を頂いたことがある。しかしせっかくの機会を、僕は敢えて見送った。クライフは全てを備えた選手だった。サッカー選手のキャリアだけを比較すれば、ペレやディエゴ・マラドーナを上位に挙げる人もいるだろう。
 
 ただし彼らとクライフには決定的な違いがあった。一言で表せば絵になった。もっと単純に言えば格好良かった。アニメの王子様も怖気づくような繊細なスターが、ピッチ上では驚愕のプレーを連発する。だからこそ遠く日本のファンの心も鷲掴みにした。
 
 もっとも格好良くて人一倍賢い創造性豊かなアスリートが、控えめでいられるはずがない。クライフは日本でのインタビューのギャラに難色を示していたそうだ。現役時代はもちろん監督としても確固たる実績を残していたクライフは、欧州と日本の評価や知名度のギャップが理解できなかったという。そんな経緯もあって、会ってイメージが壊れるのを嫌った僕は、クライフへのインタビューを避けたのだ。
 
 クライフの現役当時、まだ日本でサッカーはマイナー競技で、ファンの数も限られていた。ただし少ないながらも一人ひとりのファンの心に、クライフは「憧れ」という種を蒔き、やがてそれはしっかりと根を張っていく。プレスチームの不格好な14番たちは、日本のメディアで例外なく重要な役割を果たしてきた。
 
 クライフは、選手としても監督としても常に革命的なメッセージを発し続けた。美しい勝利を追求したから、醜悪で姑息な勝利を嫌った。そして14番に憧れるジャーナリストにも、きっと同じ志向は染み付いている。
 
 クライフは、いかにサッカーが美しく格好良いスポーツなのかを、身を持って教えてくれた。クライフの時代に間に合っていなければ、今、僕はこの仕事をしていない。
 
文:加部 究(スポーツライター)
 
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