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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の六十四「岡崎こそが“戦術”! 彼を基準に日本代表は作られるべきだ」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年03月28日

「岡崎依存」ではなく、彼から学ぶ。そしてチームは成熟する。

別格の技量を持つ岡崎をいかに活かすか。それが、向こう2年間の日本代表の課題と言っていいだろう。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 動きの質、量、そしてタイミングと、いずれも別格。敵にブロックを作られた場合、前線の選手は窮屈さで動きが止まってしまいがちだが、彼は決して止まらず、質の良いランニングでボールを呼び込み、ポストでプレーを活性化させていた。
 
 ヒールでのパスなどでズレが出る場面はあったが、岡崎のスキルとビジョンに周りがついていけないようにも見えた。
 
 特筆すべきは、相手を背負った時の老練さで、接触を自分の力に利用できる。激しいマークを仕掛ける敵を抑え、腰の強さでキープもできる一方で、その上で相手を誘い込むようにしてひらりと身体を入れ替えるセンスも身につけている。
 
 アフガニスタン戦の先制シーンも、相手の裏を取ったかたちですり抜け、ゴールに突き刺した。野性的な勘もあるだろうが、経験によってディフェンダーの癖を知り抜いているのだろう。
 
 すでに何度も主張してきたが、日本代表は岡崎を基準に作られるべきである。それほどまで、彼の力は突出している。1トップであれ、2トップであれ、また4-2-3-1であれ、4-4-2であれ、システムは関係ない。岡崎自身が戦術を司るのだ。
 
 彼の得点力を活かすために、もしくはそのスキルとビジョンに追いつくための努力を、周りの選手が心がけるべき。それは、選手たちの成長にもつながるはずだ。これは「岡崎依存」ではない。他の選手は、彼から学び、習う。そうして、チームは成熟していくのだろう。
 
 ハリルホジッチ監督の采配が大きな鍵を握るに違いない。しかし、ピッチで戦術を動かすのは選手である。指揮官はそれを促すのが仕事で、邪魔をしなければ良い。
 
 今後、世界と戦う日本代表にとって、岡崎のような選手の存在自体が戦術となり得る。相手が弱小であっても、強豪であっても、岡崎の技量は格別。彼自身がプレーを動かせるのであって、すなわち戦術なのである。

文:小宮 良之(スポーツライター)

【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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