「状況が好転する保証はどこにもない」選手も首を傾げたシャビ電撃退任発表の舞台裏「最も指揮官に批判的だったレバンドフスキでさえ...」【現地発】
カテゴリ:連載・コラム
2024年02月26日
「注意しろ。このままでは1人ぼっちになってしまうぞ」
選手たちが退任の報を聞いたのは、メディアを通してだった。ある者は自宅で、またある者は車の中で報道に接し、キャプテンの1人は「すでに想像していた」と語る。シャビが選手たちと対面したその翌日、予想外のことが起こった。
采配を巡り、いつもは支持派(ロナウド・アラウホ、ガビ、ペドリ、フェラン・トーレス)と、懐疑派(フレンキー・デ・ヨング、ロベルト・レバンドフスキ、イルカイ・ギュンドアン、アンドレアス・クリステンセン)に分かれていたドレッシングルームが、指揮官の下で一致団結を誓ったのだ。第1キャプテンのセルジ・ロベルトが音頭を取り、最も批判的だったレバンドフスキでさえ、シャビに好意的な姿勢を見せた。
とはいえ、問題はやはり公表のタイミングだ。シャビは、自らの判断が正しかったと確信しているが、選手の1人は、「これまでうまくいかなかったのに、これから状況が好転する保証はどこにもない」と首をかしげる。さらにその選手たちよりも割を食うかもしれないのはフロントで、事実、ラポルタ会長の側近は、今回の公表で恩恵を受けるのはシャビだけで、その分、自分たちに降りかかる重圧は高まるのではないかと懸念する。
「他では称賛されることが、ここでは殺される。我々の仕事ぶりが評価されない。(ラ・リーガとスーペルコパ・デ・エスパーニャを制覇した)昨シーズンは奇跡だった。にもかかわらず、今シーズン、結果に対する重圧が高まった。バルサの監督をするのは残酷だ」とシャビは訴える。
采配を巡り、いつもは支持派(ロナウド・アラウホ、ガビ、ペドリ、フェラン・トーレス)と、懐疑派(フレンキー・デ・ヨング、ロベルト・レバンドフスキ、イルカイ・ギュンドアン、アンドレアス・クリステンセン)に分かれていたドレッシングルームが、指揮官の下で一致団結を誓ったのだ。第1キャプテンのセルジ・ロベルトが音頭を取り、最も批判的だったレバンドフスキでさえ、シャビに好意的な姿勢を見せた。
とはいえ、問題はやはり公表のタイミングだ。シャビは、自らの判断が正しかったと確信しているが、選手の1人は、「これまでうまくいかなかったのに、これから状況が好転する保証はどこにもない」と首をかしげる。さらにその選手たちよりも割を食うかもしれないのはフロントで、事実、ラポルタ会長の側近は、今回の公表で恩恵を受けるのはシャビだけで、その分、自分たちに降りかかる重圧は高まるのではないかと懸念する。
「他では称賛されることが、ここでは殺される。我々の仕事ぶりが評価されない。(ラ・リーガとスーペルコパ・デ・エスパーニャを制覇した)昨シーズンは奇跡だった。にもかかわらず、今シーズン、結果に対する重圧が高まった。バルサの監督をするのは残酷だ」とシャビは訴える。
一方、ラポルタは、「昨シーズンより戦力の底上げが図られた分、期待値は高まっていた。でもチームはその期待に応えることができていない」と語っており、シャビとは意見を異にしている。そんな中、幹部の1人は自問自答する。「シャビはバルサ一筋で現役生活を全うした。それが今さらここの重圧の大きさに驚くなんてね」
くしくも「注意しろ。このままでは1人ぼっちになってしまうぞ」と前SDのジョルディ・クライフが昨年6月に退団する前にシャビに向けて発した警告が現実のものになっている。経営陣からもスポーツ部門からも後ろ盾を得られなかったシャビは、チームを動かす羅針盤も失った。そして、カタルシスを起こすには、当初の予定よりも早くアディオスを告げることだと理解した。
一方、「シャビから今シーズンいっぱいチームにとどまりたいと言われた。受け入れたのはシャビだからだ」と語るラポルタはその提案にゴーサインを出すしかなかった。今、重圧はフロントに降りかかっている。そしてシャビはようやく微笑んだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
くしくも「注意しろ。このままでは1人ぼっちになってしまうぞ」と前SDのジョルディ・クライフが昨年6月に退団する前にシャビに向けて発した警告が現実のものになっている。経営陣からもスポーツ部門からも後ろ盾を得られなかったシャビは、チームを動かす羅針盤も失った。そして、カタルシスを起こすには、当初の予定よりも早くアディオスを告げることだと理解した。
一方、「シャビから今シーズンいっぱいチームにとどまりたいと言われた。受け入れたのはシャビだからだ」と語るラポルタはその提案にゴーサインを出すしかなかった。今、重圧はフロントに降りかかっている。そしてシャビはようやく微笑んだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
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